はまぐりは、日本人にとって非常に古くから親しまれてきた食材です。
その歴史は縄文時代の「日本書紀」にも記述があるほど。はまぐりは、その風味の良さからさまざまな料理に使われ、また縁起物としても人気で結婚式や雛祭りでも食されます。
アサリには負けますが、うま味成分のグルタミン酸も含むため、焼きでもお吸い物でも美味しくいただくことができます。
今回は、このはまぐりの栄養や成分がもたらす効果についてご紹介します。
目次
はまぐりの栄養と効果 一覧
はまぐりに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
35kcal | 88.8g | 6.1g | 0.6g | 1.8g | 0g | 780mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
160mg | 130mg | 81mg | 96mg | 2.1mg | 1.7mg | 0.10mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.14mg | 9μg | 0μg | 0.6mg | Tr | 0.08mg | 0.16mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
1.1mg | 0.08mg | 28.0μg | 20μg | 0.37mg | - | 1mg |
はまぐり(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
上のグラフははまぐりに含まれている主要な栄養15種類が、どのくらい含まれているのかを示したものです。レーダーチャートにすることで、含有量が多いか少ないが一目で分かりやすくなっています。また、下は成分をまとめた表です。
はまぐりの栄養の中でも最も多く含まれるのがナトリウム、次いで意外と多いのが亜鉛、タンパク質ですね。ナトリウムは身体のミネラルバランスと整える効果がある大切な栄養です。
ビタミンB1やB2、鉄分やカルシウムはほどよく、葉酸やビタミンE、カリウムといった栄養は少ない量となります。はまぐりのカロリーと糖質はどちらも低く、低カロリーで低糖質の食材です。
また、はまぐりはビタミンB12も多いのが特徴、グラフ上にはない栄養成分の効果や効能もお伝えしています。
はまぐりで注目すべき栄養は、ビタミンB12です。
ビタミンB12は魚介に多く含まれる栄養ですが、その中でもはまぐりは「100g:28.4μg」と、生の魚介類ではトップ10入りをする豊富さです。
効果や効能については脂質の代謝に大きく関わるほか、神経機能の働きを正常に保つ効能、タンパク質や核酸の合成促進などの働きがあります。
そして、貧血の予防に関わる栄養の一つとして知られてるのもビタミンB12。貧血には2種類あり、鉄分が不足して起こる「鉄欠乏症貧血」と、ビタミンB12と葉酸が不足して起こる「巨赤芽球性貧血(悪性貧血)」があります。
ビタミンB12は葉酸と協力し合って、正常な赤血球を作る働きをサポートする栄養です。はまぐりには量は多くありませんが葉酸や鉄分や亜鉛なども含むので、貧血予防の効果が高いと言えるでしょう。
ビタミンB12は、主に動物性食品に多く含まれていることから、野菜中心の食事習慣は不足している恐れもありしっかり摂取したい栄養です。はまぐりなどでうまくとりましょう。
はまぐりは、ミネラルの一種でもある栄養、亜鉛が豊富に含まれています。
亜鉛は味覚維持に働くとして、舌にある味蕾(みらい)を正常に働かせる効果があります。日ごろから食べ物がおいしく感じられるのは、この亜鉛の働きと言っても良いでしょう。まさに縁の下の力持ちという感じですね。
その他、亜鉛は多くの酵素の構成成分として大切で、糖質の代謝、DNAやインスリンの合成などをサポート。さらに成長の促進や性的機能を正常に保つ効果もあります。
加工品の摂取のし過ぎやダイエットなどで食事量を減らしていると亜鉛不足に陥りやすいので、亜鉛のいはまぐりや牡蠣などの魚介類を食べるようにしましょう。
はまぐりには、マグネシウムも多く含まれています。全食品と比較すると少ない方ですが、生の魚介類の中では比較的、高い含有量です。
マグネシウムは、なんと300種類もの体内酵素を助けるほか、エネルギーの生成をスムーズにしたり、神経の興奮を抑えるなど、その効果は多岐にわたります。
はまぐりに含まれているマグネシウムは、骨の形成にも深く関わる栄養で、カルシウムとバランスよく摂取すると効果的。はまぐりはほどよい量のカルシウム、リンも含むので骨粗鬆症粗予防にいいでしょう。
マグネシウム不足は動脈硬化の原因にもつながりますので、しっかりと摂取して健康維持につなげましょう。
はまぐりには、タウリンも非常に多く含まれています。
よく、タウリンと聞くと疲労回復を連想する人がいますが、タウリンの直接的な疲労回復効果はあまりありません。
はまぐりに含まれているタウリンは肝機能を高める効果の他にも、心臓の機能を高めたり、血圧やコレステロール値を下げる効果も期待できます。
さらには、目の網膜の再生にも関わるなど、現代人の身体には特に多く摂りたい栄養と言えるでしょう。
疲れ目や二日酔い対策にも有効なので、はまぐり以外にも牡蠣やシジミ、イカやタコなども積極的に食べましょう。
はまぐりに含まれるビタミンB12は水溶性で、調理の仕方によってはせっかくの栄養が流れ出てしまいます。特に含有量が少ない栄養は、少しでも吸収率を上げたいものです。
そこでおすすめなのがはまぐりを使ったアクアパッツァです。タラや鯛、トマトやブロッコリー、オリーブオイル、白ワインなどの材料を煮込むだけの簡単調理です。これなら煮汁も一緒に食べられ、さらにオリーブオイルが脂溶性のビタミンの吸収率を高めてくれます。
また、お好みでレモンを加えればビタミンCが鉄分を、カルシウムはビタミンDが吸収率を上げてくれます。ビタミンDはイワシに多く、はまぐりと一緒に煮込むのにも効果的です。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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