大豆の栄養と効果についてご紹介します。近年世界中から注目を浴びている和食。そんな和食に欠かせない代表的な食材といえば大豆です。
味噌、納豆、豆腐、豆乳など大豆から派生した栄養豊富な食品も多くありますね。また、日本が長寿国になったのも昔から大豆を食べているからなのでは、という説もあります。
そして、大豆は小学生の食育の現場でも利用されている注目の食品です。今回はそんな大豆について、驚くべき栄養と効果に迫ります!
主な栄養や、大豆と肉類のタンパク質の含有量を比較したグラフも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
大豆の栄養と効果 一覧
大豆に含まれている主な栄養素のレーダーチャート (「日本食品標準成分表2015」より作成)
大豆に含まれている主な栄養15種類をグラフで表しています。グラフにすることで、どの栄養がどのくらいの量を含むのかが分かりやすいかと思います。
大豆には食物繊維が豊富に含まれています。炭水化物のうち半分以上を食物繊維が占め、その分、糖質は少なめです。
タンパク質も豊富で、その他の栄養には脂質や亜鉛などのミネラル、ビタミン類なども存在します。
大豆はビタミンCを含みませんが、枝豆やもやしになるとビタミンCが生成されるようになります。
大豆には多くの栄養が含まれていますが、その中でも注目される成分や効果を以下ではご紹介していきます。
大豆は小学生の食育でも扱われている食品です。
食育とは「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。
食育で食事の重要性を理解して、健康的な食生活を送り、栄養の偏りや食べ過ぎによる肥満や生活習慣病などを防ぎます。食育は小学生などのこども達だけでなく、老若男女問わず必要です。
食品の栄養や効果を学ぶだけでなく、その食品が使われている加工品や料理、文化なども食育では学びます。
大豆は栄養価が高く、さらに豆腐や納豆、きなこといった多くの加工品になることでも知られています。日本では古くから食べられ、多くの加工品に変化するため、大豆は食育に適した食品と言えるでしょう。
大豆で注目する栄養は、良質な植物性タンパク質です。
タンパク質は3大栄養素の1つで、臓器、皮膚、爪、髪など人間のカラダを作る主成分になります。
また、タンパク質に含まれるアミノ酸(グルタニン、アルギニン)の体脂肪の代謝を促す効果が、肥満防止にも役立ちます。
「日本食品標準成分表2015」より (可食部100gあたり)
大豆は「畑の肉」と呼ばれています。これは「タンパク質の量が肉類に匹敵するほど豊富」と言われているためです。
実際、肉類と比較した上のグラフを確認すると、牛肉よりも茹でた大豆の方がタンパク質を多く含みます。豚肉や鶏肉と比較しても量に差はあまり見られません。それほど大豆に含まれているタンパク質は豊富ということです。
また、大豆のタンパク質が注目されているのは量だけではありません。構成しているアミノ酸のバランスが良く、アミノ酸スコアが100という質の高さにもあります。
意外かもしれませんが、大豆や大豆製品はマグネシウムが多い食品です。また、牛乳、乳製品に次いでカルシウムも多く含む食品として挙げられています。
マグネシウムやカルシウムには、骨を丈夫にするだけでなく、骨をしなやかにする効果も持つため、外から加わる力を吸収して骨折をなどを予防します。
また、マグネシウムの効果や効能には骨からカルシウムが溶け出すのを防いだり、体内のカルシウム量を調整してくれます。
更年期には骨量が減少する傾向にあるので、骨をつくってくれるマグネシウムやカルシウムは必須の栄養です。
大豆に含まれるイソフラボンの効果には骨粗鬆症や更年期障害の予防 、骨からカルシウムが溶けだすことを阻止する働きがあります。
その他、イソフラボンは血液をサラサラにしてくれるので、動脈硬化や心臓病の予防にも効果的です。
ただし、最新の研究ではイソフラボンの効果を得られる人は日本人で50~60%と言われています。すべての人には効果があるとは限りませんのでご注意下さい。
また、イソフラボンは一日の摂取量が決められています。食品安全委員会では、イソフラボンの一日の摂取量の上限は75mgとしています。
エクオールは、大豆イソフラボンが腸内細菌の代謝によって作られ、大豆イソフラボンより女性ホルモンに似た形になった成分です。
体内にエクオールが多いと、月経前症候群の症状が軽くなると言われています。
ただ、上記のイソフラボンのように、エクオールも腸内で作れない人もいます。とくに、若い世代になるほど少なくなっています。
エクオールを直接摂取する方が効果的とされ、今では、エクオールがつくれない人のためにと、サプリメントが販売されています。
サポニンやレシチンなどの成分にも注目です。
大豆の渋みや苦みの主成分であるサポニンの効果には、血中糖質を低下させて、コレステロールを低下させる働きがあります。
また、サポニンは高血圧や動脈硬化、高脂血症の予防効果に加え、余分な脂肪を排出しダイエットにもおすすめです。
大豆に含まれるレシチンは、脳や神経、肝臓や内臓、皮膚など身体の細胞膜に働きかける成分です。
また、レシチンにも血中コレステロールに対する効果があります。血管内を綺麗にして心臓病や脳卒中の予防に加え、記憶力の向上、認知症の予防にも効果が期待できます。
小さな粒の中にたくさんの栄養や効果がつまっている大豆。
上記以外の栄養の他にも、塩分の摂り過ぎによって起こる高血圧を予防するカリウム、貧血を防ぐ鉄分、便秘解消に効果のある食物繊維も含みます。
栄養価は高いですが大豆の組織は硬いため消化しにくく、せっかくの栄養が吸収されずに不足気味となってしまいます。
大豆は柔らかく煮て食べると、さまざまな栄養成分を吸収しやすく、効果を発揮してくれます。豆腐や豆乳などの加熱した大豆食品は、大豆そのものよりも吸収率が良くなるんです!とくに湯葉のタンパ質の吸収率はとても高いと言われています。
また、大豆製品のお味噌にはリジンと呼ばれるアミノ酸を含みます。白米にはリジンが不足しているので、ご飯にお味噌汁を合わせることでリジン不足を補うことができます。
毎日積極的に取り入れて、大豆の持つ栄養や効果に期待したいものですね。