湯葉の栄養とその効果についてご紹介します。古来より日本の食文化に寄り添ってきた大豆由来の食品、湯葉。
宮中料理である「有識料理」、そして寺社では「精進料理」に、またその後には「懐石料理」にも使用されるなど、様々な料理様式を越えて愛され続けてきました。
現代では湯葉が持つ多くの栄養成分が注目され、スーパーなどでも売られるようになりました。生湯葉や保存のきく乾燥湯葉は一般家庭でも煮物や蒸し物、揚げ物などとして利用されています。
今回は日本人の食を支えてきた湯葉の栄養や効果について、詳しく理解していただければと思います。
目次
湯葉の栄養と効果
湯葉に含まれている主な栄養成分
それでは湯葉に含まれている主な栄養を見ていきましょう。上のグラフは生湯葉100gの栄養成分を評価付けし、レーダーチャートであらわしたものです。
グラフを見ますと、タンパク質、脂質、鉄分、亜鉛が多く含まれていることが分かります。脂質が多いのも少し気になりますね。
ちなみに、生湯葉100gのカロリーは231g、1枚分(30g)のカロリーは69kcalとなります。ヘルシーなイメージがある湯葉ですが、意外とカロリーもあるので注意が必要です。
以下では湯葉に含まれている栄養とカラダへの効果について解説していきます。また、上記グラフにない成分も詳しく説明しますので、ぜひお読みください。
湯葉で最初に注目すべき栄養はタンパク質です。上のグラフを見てもタンパク質が多く含まれているのが分かりますね。
そもそも湯葉は豆乳を80度近くまで静かに加熱し、表面にできる皮膜をすくいあげたものです。そしてこの皮膜にはタンパク質が凝縮されています。
湯葉の原料である大豆に含まれる植物性タンパク質は、肉や魚に含まれる動物性タンパク質とは異なる嬉しい効果があります。
湯葉に含まれるタンパク質は、主成分であるβ-コングリシニンが基礎代謝をアップさせ、内臓脂肪や中性脂肪を低減させる効果が期待されています。
特にメタボが気になる中高年の方には、積極的に摂取してほしい栄養です。
湯葉に含まれている栄養の中で、次に注目すべきは大豆イソフラボンです。
大豆イソフラボンの特徴は、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをしてくれることです。
エストロゲンは、女性がいつまでも若々しく健康でいるために必要な栄養ですが、一般的には加齢とともに減少してしまいます。
大豆イソフラボンをしっかり摂取することでエストロゲンの減少を補ってくれるので、更年期障害の予防や美肌効果など、女性に嬉しい様々な効能が期待できます。
ただし、最近の研究ではイソフラボンの効果が得られる人が日本人では50~60%ほどという結果も出ていますので、注意が必要です。
湯葉には鉄分や亜鉛といった栄養も多く含まれています。
鉄分や亜鉛は大豆製品には多く含まれているのですが、その中でも湯葉は含有量が多い方です。下の図は湯葉、豆乳、納豆の鉄分と亜鉛の含有量を比較したものです。
湯葉 | 豆乳 | 納豆 | |
鉄分 | 3.6mg | 1.2mg | 3.3mg |
亜鉛 | 2.2mg | 0.3mg | 1.9mg |
100gあたりの鉄分と亜鉛の含有量
納豆とはさほど変わりませんが、豆乳よりも多くの鉄分・亜鉛が含まれていることが分かります。上のレーダーチャートでも多く含まれているのが分かりますね
鉄分は主に血液や筋肉に存在し、タンパク質と結合して全身に酸素を供給する働きがあります。そのため、鉄欠乏性貧血を予防する効果が期待されます。特に、月経のある女性は鉄分が不足しがちなため、重要な栄養となります。
亜鉛は様々な補酵素の働きを促す効果があります。成長や傷の修復に不可欠な栄養で、味蕾(みらい)の新陳代謝にも関与します。亜鉛も鉄分と同様にタンパク質と結合して体内に存在します。
湯葉には、いま注目の栄養素であるサポニンも豊富に含まれています。
サポニンは、湯葉の原料である大豆特有の苦味やえぐみ成分で、大豆を煮るときに出てくる泡やあくの中に含まれています。
サポニンは抗酸化作用が高いという特徴があり、体の老化の原因となる過酸化脂質を抑える働きがあります。
動脈硬化や生活習慣病の予防、また肝機能障害の改善などの効果が期待されています。
なんと湯葉に含まれるアミノ酸スコアは、100点の最高点です。
必須アミノ酸は現在9種類ありますが、スコア100というのは、必須アミノ酸9種類をバランス良く摂取できるということを示しています。
アミノ酸は、運動をする際のエネルギーとして使われたり、肝機能の強化や安眠、精神の安定、成長ホルモンの分泌など、その効果は多岐に渡ります。
もちろん、タンパク質にもなりますので筋トレやダイエットなどボディメイクをする際にも役立つ成分です。
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