精進料理とは、仏教の「精進」思想から生まれた宗教由来の料理を指します。
古くは中国仏教から朝鮮半島や日本へ派生して、それぞれの地域で独自の食文化を形成しました。日本では鎌倉時代に禅宗が活発になるにつれて、精進料理も独自に進化。
特に曹洞宗の開祖である道元禅師が、厳しい修行生活の中で編み出し、それが今日の精進料理の礎になっているとも言われています。
殺生を禁じる仏教では、使用される食材も鳥類や魚類をはじめ、牛や豚などの獣類は禁止。野菜や穀類、海藻類など植物性の食材をメインに調理されます。
したがって精進料理の最もたる特徴としては、野菜類や穀類などの低脂肪・低カロリーの食材をいかにして栄養価の高いものへとアレンジするか、また、見栄えも色彩や形状でいかに食欲を促進させるか、といったその調理技術にあると言えます。
例えば、タンパク質が不足しがちな菜食の中に、栄養価が高くタンパク質も豊富な大豆を、積極的に使用することなどはその典型。豆腐や油揚げをはじめ、納豆、湯葉、豆乳などを用いた精進料理はよく目にすることができます。
また味噌や醤油といった味付けを濃くする調味料や、すり鉢などの調理器具、根菜類の煮しめといった料理技法も、積極的に取り入れられ庶民生活の中へも浸透していきました。
寺院の宿坊で、参拝者や観光客に提供するコースメニュー、また、高級料亭などでも懐石料理の1つとして提供されています。