単純温泉とは、成分が単純という訳ではなく温泉1kgあたりの含有成分量が1000mg未満のものを言います。
また、地中から湧出する時の温度が25℃以上であれば、どのような温泉も単純温泉という泉質名になります。ですが、含有成分の量が1000mgを超えると単純温泉になりません。
単純温泉は含有成分が少ないので湯当たりする可能性が低く、子どもや高齢者向きの温泉とも言えます。温泉療法における即効性はあまり期待できませんが、刺激が少ないのでゆっくりと温泉療法に取り組むことが可能です。
近年までは、日本で一番多い泉質が塩化物泉でしたが、掘削技術の進歩により、単純温泉が日本で一番多い泉質となりました。
ph値が8.5以上の場合はアルカリ性単純温泉という表記になり、肌の角質をとる美肌効果を期待できるため、各温泉地では美肌の湯などと宣伝をしています。
他の泉質にも共通しますが、筋肉痛・神経痛・関節痛などが一般適応症として効能が認められています。
基本的に特徴の少ない泉質ではありますが、湯の中に含まれる成分は各温泉地によって異なり、少し濁ったり硫黄臭を放つなど微細な違いが生じる場合があります。
単純温泉の代表的な温泉地としては、日本三名泉の一つにも数えられる下呂温泉があり、日本三古泉の道後温泉も単純温泉です。全国に名を馳せる名湯に多い泉質であるとも言えます。