せりに含まれている栄養と効能をご紹介します。独特の風味と香りが特徴的な春の七草のひとつ、せり。
1年の無病息災を祈るため、1月7日に七草粥としても食べられていますね。1月ごろにはスーパーでせりを見かける機会も増えるかと思います。
特有の香りと苦みがあるため、好き嫌いの好みが分かれる野菜ですが、この香りや苦味成分にも効能が期待されています。
今回は、そんな「せり」に含まれている栄養と成分、その効能について詳しく解説していきます。
目次
せりの栄養と効能 一覧
せりに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
17kcal | 93.4g | 2.0g | 0.1g | 3.3g | 2.5g | 19mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
410mg | 34mg | 24mg | 51mg | 1.6mg | 0.3mg | 0.15mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
1.24mg | 160μg | 0μg | 0.7mg | 160μg | 0.04mg | 0.13mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
1.2mg | 0.11mg | 0μg | 110μg | 0.42mg | - | 20mg |
せり(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
上図はせりに含まれる栄養をレーダーチャートで表したもの、下は成分表です。数ある栄養の中から15種類をピックアップして作成しています。
せりに含まれる栄養で多いのが葉酸です。その他、ビタミン類や鉄やカリウムといったミネラル、食物線維も比較的多めに含まれています。
また、せりのカロリーや糖質量は低い水準で、ヘルシーな野菜といえます。
せりは独特の香りがしますが、この香り成分にも効果や効能が期待されています。以下ではせりの栄養と効能についてご紹介します。
せりには貧血に関わる葉酸と鉄分が含まれています。葉酸や鉄分はどちらも貧血予防には欠かせない栄養です。
葉酸は胎児の先天異常(神経管閉鎖障害)を防ぐのに重要な栄養で有名ですが、この他にもビタミンB12とともに赤血球を作る大切な働きもあります。また、鉄分も血液中のヘモグロビンの構成成分となって、全身に酸素を運ぶ効能があります。
貧血にもいくつか種類があります。葉酸が不足すると巨赤芽球性貧血に、鉄分が不足すると鉄欠乏症貧血を引き起こしてしまいます。
葉酸と鉄分はどちらも造血に関わるため、この2つの栄養を同時に摂ることで相乗効果を発揮して、貧血を予防する効能をより高まることができます。
せりには、強い抗酸化作用でも知られるβ-カロテンが豊富に含まれています。
せりに含まれているβ-カロテンは別名プロビタミンAと呼ばれ、必要に応じて体内でビタミンAに変換されるという特徴を持ちます。
効能には目の健康維持だけでなく、抗酸化作用もあるためアンチエイジングやガン予防などが期待されています。
β-カロテンは油と一緒に体内に取り込むことで、吸収率を上げることができます。せりはお浸しや鍋で食べることが多いので、味の邪魔をしないオリーブオイルを少量加えて食べるのがおすすめです。
ビタミンCも、せりには含まれています。
ビタミンCは、強い抗酸化作用があることからアンチエイジングや、美白・美肌化といった美容にさまざまな効能があることで知られています。同じく抗酸化作用のあるβ-カロテンも含むので、よりこれらの作用や効能が高いと言えます。
さらにビタミンCには免疫力を高める効能もあり、風邪の予防や改善に効果的です。ビタミンAやB群、ミネラル類も含むので、体力が衰えているような状態に健康増進として取りたい食材です。
なお、体内に吸収されにくいとされる鉄も、普段からビタミンCと一緒に摂ると体内吸収率が上がります。
せりや独特の香りや苦みを持つ食材で、とくに香りには多くの効能が期待されています。せりを含む三つ葉やパセリ、セロリなどのセリ科の植物には、独特の香り成分が含まれています。
せりの精油成分や苦み成分にはカンフェン、β-ピネン、ミリスチン、カルバクロール、オイゲノール、シンナミルアルコール、植物アルカロイドといった成分を含みます。
これら精油成分には食欲の増進や血圧の低下、血流の促進、鎮静や解熱、解毒作用が期待されていますが、さらに、ストレスに対する抵抗性も高める効能があると言われています。
収穫後は香りが徐々に弱くなります。香りを楽しんだり効能をしっかりと得るためも、せりを購入したらなるべく早く食べるようにしましょう。
せりには、食物繊維も含まれています。
食物繊維は腸の働きを正常に促すことで便秘の解消、または糖の吸収を遅らせて糖尿病を予防する効能があります。
せりは七草粥に利用される食材です。お正月中の暴飲暴食で疲れた胃腸を休め、食物繊維不足も補えます。
また、ダイエット中の食事に多く取り入れることで、満足感を味わいながら無理なく食事制限ができるため、おすすめです。食物繊維の効能を効果的に活かすためには、たっぷりの水分と摂るのがポイントです。
せりは葉や茎だけでなく、根っこも食用として利用されています。
秋田や仙台のお鍋には欠かせない食材で、シャキシャキとした食感が格別です。秋田の「三関(みつせき)セリ」は、関東で出回っているせりよりも茎が太く根も長く立派です。
また、せりには肉の臭みを消すメリットもあり、イノシシや鴨肉などのお肉とも相性が良い香味野菜です。
せりの根は土中に深く入り泥がたくさんついているため、一見食べるのに戸惑うかもしれませんが、きれいに洗えば食べられます。
せりの根っこの洗い方は、スポンジやブラシを使って泥を落とします。お鍋やきんぴら、天ぷらなどで根っこまで調理すると、せりの栄養を余すことなく摂ることができます。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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