中性脂肪とは、シンプルに言えば人間の体を動かす、エネルギー源となる物質です。
中性脂肪は、脂肪酸のグリセリンエステルのことを指しており、体中の血液や内臓などに脂肪細胞として蓄えられています。
健康診断の検査結果では「TG」の記号で表示されます。中性脂肪を測る時はmg/dlという単位を使い、中性脂肪の基準値(正常値)は、30~149mg/dlとなります。
中性脂肪は、生活習慣病を引き起こす悪者扱いをされたりもしますが、実はそうではありません。人間は、活動時に中性脂肪を燃やして体を動かしています。つまり中性脂肪とは、人間が生きていくためには必要不可欠なエネルギーです。
ただし、血液中の中性脂肪値が通常範囲に収まらないと、血管の動脈硬化が進んで「脂質異常症」と呼ばれる状態になります。
そうなると食事で摂取したエネルギーが消費しきれず、余った分は肝臓で中性脂肪として蓄えられていきます。これにより、血液中の脂肪が過剰になってしまうのです。
特に、中性脂肪は肝臓に溜め込まれるため、肝機能が低下して肝硬変や肝臓がんへと進む可能性も否めません。
人間の体が中性脂肪を蓄える働きをもったのは、原始時代まで遡ることになります。当時の人間は定期的に食事を確保できず、これは状況によっては「死」に直結します。人間は生きていく一つの方法として、体内に脂肪を蓄えておくというシステムを作り上げたのです。
そのため、飽食の現代においては、脂肪を溜め込む働きが、かえって生活習慣病を招くことになります。脂質や糖分の多い食事を避け、バランスよく食べることが大切です。