梅干しに含まれている栄養と、その効果と効能をお伝えしていきます。日本では昔からおにぎりやお弁当などで愛されてきた梅干し。
中にはなんか古臭いから嫌!と敬遠する人もいると思います。が、あなどるなかれ、梅干しには私たち現代人には見過ごせない効果や効能が期待できます。
また、梅干しは塩分が強いため血圧に良くないと思われていますが、それは誤解です。今回は皆さんがつまづきやすい誤解と梅干しが持つ栄養とカラダへの効果や効能についてお伝えしていきます。
目次
梅干しの効果と効能 一覧
梅干しに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
33kcal | 65.1g | 0.9g | 0.2g | 10.5g | 3.6g | 8700mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
440mg | 65mg | 34mg | 21mg | 1.0mg | 0.1mg | 0.11mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.23mg | 7μg | 0μg | 0.3mg | 0μg | 0.02mg | 0.01mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.4mg | 0.05mg | 0μg | 1μg | 0.12mg | 0.7μg | 0mg |
梅干し(塩漬)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より)
梅干しの具体的な効果や効能を理解する前に、どのような栄養が含まれているのかをザックリと見ていきましょう。
上のグラフは梅干しに含まれている主な栄養素のレーダーチャートです。ナトリウムが豊富に含まれているのが分かります。これは主に塩分ですね。梅干しは梅を塩漬けにしますので、どうしても塩分が多くなります。
また、カリウムやカルシウム、鉄分も多少含まれているのも分かります。カロリー、脂質は低いので、ヘルシーな食材であることも分かりますね。
梅干しの栄養がザックリと把握できたところで、以下では詳しい効果と効能についてお伝えしていきます。上の栄養素にはない成分もご紹介していますので、ぜひご覧ください!
梅干しにはクエン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸といった有機酸が豊富に含まれています。その中でも最も多い成分はクエン酸です。梅干しの主な成分といったらクエン酸というほど特徴的な成分です。
梅干しの酸っぱさの原因はこのクエン酸によるものです。最初、未熟の梅にはリンゴ酸が多く含まれておりますが、成熟するにあたってクエン酸が増えてゆきます。
クエン酸には炭水化物の代謝を促す効果、疲労回復効果などが期待できます。
梅干しには肝臓の機能を向上させる効果も期待できます。こちらも梅干しに含まれているクエン酸の効能のひとつです。
疲労回復とともに二日酔いで肝臓を酷使している人にも効果的です。アルコール飲料に梅干しを入れて飲むのがおすすめです。
また、二日酔い同様に、車酔い、船酔いなど乗り物酔いにも効果を発揮します。また、健康診断などで肝臓の数値が悪い方は梅干しを食べる習慣をつけてみましょう。
梅干しには胃酸を分泌する効果が期待できます。胃酸を分泌することによって、胃酸が少ないことが原因で起こる胃痛を改善する効能も期待できます。
ご注意いただきたいのが、胃痛には胃酸が少ないことが原因で起こるものと胃酸が多いのが原因で起こるものがあります。梅干しはこのうち、胃酸が少ないことが原因で起こる胃痛に対して効果を発揮します。
胃酸が多いのが原因で起こる胃痛に対しては、さらに胃酸を分泌することになり。逆効果となりますのでご注意下さい。胃酸が少ない時に見られる症状は以下の通りです。食欲不振、胃が重い感じ、胃もたれ、胃に圧迫感がある感じ。
なお、胃酸の分泌を促す結果、食欲を増進させる効能も期待できます。
梅干しに含まれているクエン酸は便秘や下痢の解消にも効果的です。
クエン酸は体内に入るとTCAサイクルが活発化し、カラダを酸性からアルカリ性に変える働きがあります。
その際、腸に届いたクエン酸はぜんどう運動を誘発し、これにより便秘が改善されたり、腸内の悪玉菌を殺菌する働きがあります。
梅干しは塩分が多く、血圧が心配だという方も多いと思います。上のグラフでもナトリウム量が多いのが見てとれます。
結論から言うと、食べ過ぎなければ問題ありません。塩漬梅干し1個あたりの食塩相当量は1.9g。一日あたりの食塩摂取量の目標値は男性8g、女性7g(厚生労働省)ですので、一日1粒程度の量であれば問題ありません。
梅干しは医者いらずといわれるほどカラダに良い食べ物ですが、一日1粒を目安に食べてください。
また、高血圧気味の方、血圧が気になるという方は調味漬の梅干しを食べるようにしてみて下さい。調味漬の1個当たりの食塩相当量は0.6g。塩漬けの梅干しの1/3程度の塩分量となります。
はちみつ漬けとは、梅干しを塩抜きしてはちみつで漬けたものです。塩分が少ないため食べやすいのが特徴です。高血圧が気になる方にもおすすめです。
はちみつ漬けの梅干しは、はちみつの効能も期待できます。はちみつには、素早いエネルギー補給や腸を整える効能、美肌効果なども期待できます。
味の好みは分かれるところですが、はちみつ漬けの梅干しは栄養や効能の面からは適した食材になります。
気になる方はぜひお試しください。近年では市販でも、はちみつで漬けた梅干しが増えてきています。
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梅に関しては注意すべき点が一つあります。それは、未熟な青梅には有害な青酸化合物が含まれている点です。
青酸化合物とはシアン化合物とも呼ばれるきわめて強い毒性をもつ化合物です。
未熟な生梅にはこうした青酸化合物が含まれているので、絶対に食べないで下さい。中毒を引き起こす可能性があります。
特に日本では梅は身近な樹木ですので、注意が必要です。梅の果実を食べるときには、梅干しや、梅酒などに加工して食べましょう。なお、梅の実が梅干しになると防腐作用が発揮されます。
引用および参考:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」