鮎(あゆ)に含まれている栄養おその効能をご紹介します。鮎は「川魚の王」とも呼ばれ、少し苦味を含んだ味わいが人気の魚です。
きれいな水質の川にしか生息せず、流れの速い場所を好むため、新鮮で上質な鮎は身が引き締まっています。
塩焼きや唐揚げなど、さまざまな調理法で私たちの食卓にならぶ鮎は、特に内臓に栄養が詰まっているそうです。
今回は、鮎の栄養の豊富さと、その効能についてお話します。
目次
鮎の栄養と効能 一覧
鮎に含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
138kcal | 72.0g | 17.8g | 7.9g | 0.6g | 0g | 55mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
360mg | 250mg | 24mg | 320mg | 0.8mg | 0.9mg | 0.05mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
Tr | 55μg | 8.0μg | 5.0mg | 0μg | 0.15mg | 0.14mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
3.5mg | 0.28mg | 2.6μg | 28μg | 1.22mg | - | 2mg |
鮎(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(七訂)」より)
上の図は鮎に含まれる栄養をグラフで表したもの、下は鮎の成分表で、「養殖、生」の栄養を基に作成しています。
鮎はビタミンEやカルシウムが多く、タンパク質も含みます。その他、ビタミンB群や亜鉛といったミネラルも含んでいます。
天然物に注目が集まっていますが、スーパーなどでは養殖された鮎が多く出回っています。天然と養殖では餌が異なるため、栄養価も変わってきます。
また、香りや食味も違いますので、天然物を見かけたときはぜひ味わっていただきたいです。
鮎に含まれるビタミンEは、魚類の中ではトップクラスの含有量です。
抗酸化作用を持つビタミンEは、活性酸素の働きを抑えて細胞の老化を防ぐ効能があります。いつまでも若々しくいたいと思う人達の必須栄養素のひとつです。
また血行を促して末梢血管を広げる効果もあり、しもやけや手足の冷え、肩こりに悩む方にも効果があります。顔色(血色)を良くする効能もあるので、普段蹴ら血色が悪いと悩む女性にはおすすめです。
内臓にはビタミンEやAも含まれています。苦味はありますが、塩焼にして内臓もしっかりと摂取しましょう。
鮎には、ビタミンB12が豊富に含まれていることが大きな特徴です。
鮎に含まれているビタミンB12は、胎児の先天性障害の予防で注目されていますが、造血作用があります。葉酸とともに働いて悪性貧血の予防や改善の効能があります。
その他の効能では、神経機能を正常に保つ働きがあるので、集中力の低下、気分が落ち込んだりとうつ病などの症状を防ぐこともできます。
ビタミンB12は天然物に多く、養殖とでは4.6倍ものさがあります。
鮎はカルシウムやマグネシウムなどが多いですが、実は、ビタミンDやリンなども含まれています。
カルシウム、マグネシウム、リンは、丈夫な骨を作るのにとても大切なミネラルです。また、ビタミンDは、カルシウムの吸収を促す効能や、骨からカルシウムが流出するのを防ぐ役割があります。
骨に関わる栄養が揃い、丈夫な骨を作る効能は、骨粗鬆症の予防に効果的です。
ビタミンDは養殖の方が多く、内臓の苦みはこのビタミンDによるものです。とくに炭火でじっくりと焼いた塩焼きの鮎は骨まで食べることができますので、内臓も残さずに食べるのが効果的です。
鮎の内臓には栄養が含まれているので、残したり捨てるのはもったいない部分です。苦味があったり内臓ということもあり、残してしまう方が多いですが、しっかりと効能を得るには、できれば身と一緒に食べるのがおすすめです。
鮎の内臓にはビタミンやミネラルなどが含まれています。内臓を用いた「うるか」と呼ばれる、塩漬にした塩辛も作られています。
天然と養殖では餌や環境が異なるため、栄養の含有量が異なります。天然の鮎の内臓にはミネラルやビタミンB郡、養殖の内臓にはDHAやEPAなどの脂質、ビタミンAが多く含まれています。
良質な脂質は血管を柔軟にして血管内の血栓を溶かし、血中の中性脂肪を低下させる効能があります。血液をサラサラにして動脈硬化や高脂血症、さらには高血圧や心臓疾患などの生活習慣病の予防と改善に効果があります。
川魚の王様と呼ばれる鮎料理には甘露煮や天ぷらなどがありますが、やはり炭火で焼く鮎の塩焼きがもっとも美味しくいただけるでしょう。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(七訂)」
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