うなぎに含まれる栄養と効果についてご紹介します。
世界の7割~8割を日本で消費されているといううなぎ。日本では夏バテ対策として、土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が定着していますね。
栄養面でもカラダに良い効果が期待できる食材です。今回はそんなうなぎについて、栄養と成分や効果を理由とともに解説していきます。
また、近年うなぎの代替魚として注目されている「穴子」や「なまず」の栄養も合わせてご紹介していきます。どうぞあわせてご覧ください。
目次
うなぎの栄養と効果
うなぎに含まれている主な栄養成分 (「日本食品標準成分表2020」より作成)
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
228kcal | 62.1g | 17.1g | 19.3g | 0.3g | 0g | 74mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
230mg | 130mg | 20mg | 260mg | 0.5mg | 1.4mg | 0.04mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.04mg | 2400μg | 18.0μg | 7.4mg | 0μg | 0.37mg | 0.48mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
3.0mg | 0.13mg | 3.5μg | 14μg | 2.17mg | 6.1μg | 2mg |
うなぎ(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
それでは早速、うなぎに含まれている栄養を見ていきましょう。
上の図は、うなぎに含まれている主な栄養素を数値化し、レーダーチャートにしたもの、下は成分をまとめた一覧表です。
チャートの形が大きく、豊富な栄養が含まれていることが分かりますね。特に、ビタミンA、B群、ビタミンE・D、脂質が多く含まれていることが分かります。
また、タンパク質や亜鉛、カリウムやカルシウムといったミネラルも含まれていることが分かります。以下では上記栄養と効果をいくつかピックアップして詳しく解説していきます。
うなぎに含まれている栄養で、最初に注目すべきはビタミンAです。うなぎは古くからビタミンAの供給源として高く評価されています。
うなぎにはビタミンAが多く含まれており、1串のかば焼きで成人が必要とする3日分のビタミンAを摂取することができます。うなぎの肝にはさらに多く含まれており、100gあたりのレチノール含有量は身の約2倍になります。
ビタミンAは皮膚や目、口、鼻、のど、肺、内臓などの粘膜を健康に保つ効果があります。また、皮膚の上皮細胞の入れ替わりを活発にするので、美肌・美容の効能も期待できます。
さらに、ビタミンAは目の網膜にあるロドプシンという物質の主成分になります。ロドプシンが正常化することで、眼精疲労や視力の回復効果も期待できます。
ビタミンAは動物性食品に含まれる「レチノール」と、植物性食品に含まれる「カロテン類」がありますが、うなぎは動物性食品のため、レチノールが多く含まれます。
レチノールはうなぎ、あんこう、レバーなどに多く含まれています。カロテン類に比べ、レチノールの体内の吸収率は高く、70~90%ほどが吸収されます。うなぎに含まれているビタミンAは効率面でも優れてるんですね。
うなぎで次に注目すべき栄養はビタミンB1・B2です。上のグラフを見ると分かりますが、うなぎにはビタミンB1・B2が豊富に含まれています。
ビタミンB1とB2はともに補酵素としての役割を担っています。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える酵素の働きを促す効果、ビタミンB2は糖質と脂質の代謝にかかわっています。
糖質の代謝を促すことで、脳や神経の働きを助ける効能も期待できます。集中力や記憶力のアップにも役立つでしょう。米など糖質の多い食べ物を多く摂取する日本人にとって、ビタミンB1やB2はとても重要な栄養素です。
また、ジュースやアイスなど糖質を多くとる夏場には、ビタミンB1やB2が不足しがちです。糖質をエネルギーに変えるビタミンB1・B2を多く含むうなぎは、夏バテ対策としてとても優れています。
これはあまり知られていないのですが、うなぎには良質なタンパク質が豊富に含まれています。上のグラフを見てもタンパク質の含有量が多いのが分かりますね
うなぎは脂質が多くカロリーが高めなのが欠点ですが、1尾あたりのタンパク質含有量は36.8gと非常に多く、肉類に匹敵するほどの分量です。
タンパク質は筋肉や臓器、皮膚や爪の構成要素となる働きや効果があります。筋トレ中の方などしっかりと運動をして、ガッツリとタンパク質を摂りたい方にはおすすめです。
豊富な栄養を誇るうなぎですが、脂質が多いのが唯一の欠点です。食べ過ぎには注意しましょう。
食品成分表によりますと、うなぎには100gあたり19.3gの脂質が含まれています。含有量の約20%が脂質と考えられます。
脂質は悪いものとの認識が広まっていますが、適量であれば問題ありません。脂質には、エネルギーを生み出す効果や細胞膜やホルモンの構成成分となる働きがあります。
一方、うなぎの味を決める要素は、脂質にあると考えられています。一般的に、天然ものは高度不飽和脂肪酸が少なく、養殖ものは多いとされています。高度不飽和脂肪酸は、脂のしつこさを強調する要因となりますので、天然うなぎは味がしつこくなく、美味しいとされています。
うなぎ、穴子、なまずの栄養価の比較 (「日本食品標準成分表2020」より作成)
近年、うなぎの漁獲量が危機的状況にあるのはご存知かと思います。ニホンウナギは絶滅危惧種に指定され、今後、うなぎが食べられなくなるかもとの観測も浮上しています。
そんな中、うなぎの代替食として「穴子」や「なまず」が注目を集めています。味が似ている似ていないという議論は他でもやられていますので、この記事ではそれぞれの栄養価の比較をしていきたいと思います。
上のグラフはうなぎと穴子、なまずの栄養価をチャートで比較したものです。三つの魚の栄養を比較しますと、やはりうなぎが優秀ですね。三者の中で最も大きなチャートとなっています。
意外だったのがなまずの栄養価です。ビタミンB1、E、カリウムは豊富に含まれていますし、タンパク質はうなぎよりも多く含まれています。また、脂質が少ないのもポイントですね。
実は、なまずは見た目がうなぎに似ています。そのため、うなぎの代替食として一部のスーパーなどで取り扱われるようになりました。脂身が少ないため、ふっくら感がなく、味は賛否が分かれるところです。
なまずは栄養価も高く、値段もうなぎに比べて安いため、健康とお財布には優しい魚になります。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」