おからとは、豆腐を作る工程の中で、大豆から豆乳を絞ったあとに残るしぼりかすのことです。「卯の花(うのはな)」、「豆腐殻(とうふがら)」、「きらず」とも呼ばれますね。
卯の花などのおから料理は、若い世代の食卓ではなかなか見かけなくなりましたね。おからが何からできているのかさえ知らない子どもたちも増えています。
ヘルシーなイメージがある「おから」ですが、実際はどうなんでしょうか?
おからに含まれている栄養や効果をグラフを交えて分かりやすく解説していきます。どうぞご覧ください!
目次
おからの栄養と効果
おからに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
88kcal | 75.5g | 6.1g | 3.6g | 13.8g | 11.5g | 5mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
350mg | 81mg | 40mg | 99mg | 1.3mg | 0.6mg | 0.14mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.40mg | 0μg | 0μg | 0.4mg | 8μg | 0.11mg | 0.03mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.2mg | 0.06mg | 0μg | 14μg | 0.31mg | 4.1μg | Tr |
おから(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
上のグラフはおからに含まれている15種類の栄養を表したもので、下は成分の一覧表です。グラフを見ることで、おからにどんな栄養が含まれているのかざっくりと把握することができますね。
見てみますと、食物繊維が多く含まれていることが分かります。タンパク質、カリウム、カルシウム、鉄分、ビタミンB1はそこそこ含まれているといったところですね。
一方で、カロリーと糖質、脂質は低めで、ナトリウムも少ないことが分かります。ヘルシーで健康にはとても良い食材であることが分かりますね。
以下ではおからに含まれている栄養とその効果を具体的に解説していきます。また、上記15種類以外の成分も解説していますので、そちらも合わせてご覧ください。
まずは、おからの最も特徴的な栄養である食物繊維について見ていきましょう。
おからの原料である大豆には、100gあたりに含まれる食物繊維が6.7gと、豊富に含まれています。しぼりかすであるおからは水分が飛ぶため、さらに食物繊維の含有量は増えます。100gあたり11.5gを食物繊維が占めます。
食物繊維は不要物をからめとり、腸内をきれいにする効果が期待できます。排便を促すため、便秘の予防や下痢の改善などに役立ちます。
食物繊維は水溶性と不溶性に分かれますが、おからに多く含まれる食物繊維は不溶性で、胃で消化されることなく腸まで届くため、とくに便秘の解消に効果を発揮します。
おからはヘルシーでカロリーも低いため、ダイエットにもおすすめです。便秘解消効果以外にも効能がありますので、積極的に食べてゆきたい食品ですね。
次におからで注目すべき栄養はタンパク質です。肉や魚と比べると劣りますが、そこそこの含有量となっています。
おからの原料である大豆には植物性タンパク質が含まれています。肉類からタンパク質を摂取すると、どうしてもカロリーや脂質といった余計な栄養まで摂取してしましますね。
コレステロール値や血圧が高めの人がタンパク質を摂取したいときにもおすすめです。
タンパク質は筋肉の主成分になる効果があるほか、内臓や骨などカラダを構成する際に必要な栄養です。また、体内に貯蔵できないため、こまめに摂取する必要があります。
ちなみに、動物性タンパク質が悪かというと、そうでもありません。動物性タンパク質には植物性にはない必須アミノ酸を全て網羅しているというメリットがあります。植物性、動物性のいずれのタンパク質もバランスよく摂取することが良いんですね。
グラフを見ていただくと分かりますが、おからにはカリウム、カルシウム、鉄分といった栄養が含まれています。
カリウムは細胞の内側に多く含まれている栄養で、ナトリウムとともに細胞内の浸透圧を調整する効果があります。ナトリウムを排出する効能もあるため、高血圧の予防にも役立ちますね。
カルシウムはご存知の通り、骨や歯を形成する働きがあり、骨粗鬆症を予防する効果が期待できます。鉄分は貧血を予防する効能があります。鉄分不足で起きる「鉄欠乏性貧血」の予防に役立ちますね。
ただし、上のグラフを見ていただくと分かるとおり、おからに含まれているこれらの栄養は「やや多い」程度です。効果もさほどは期待できませんので参考程度にとどめておいて下さい。
グラフにはありませんでしたが、おからには押さえておきたい栄養がいくつかあります。その一つがレシチンです。
レシチンは、血管についたコレステロールを溶かす働きや肝臓についた脂肪を減らして脂肪肝を予防する効果があります。
また、レシチンにはエネルギー代謝効率をあげる性質があるため、血糖値を下げたり、肥満を予防したりする効果があります。
レシチンはリン脂質の一種(リン脂質の30~50%含まれる)で、おからの大豆に含まれる成分です。乳化作用が大きいので、食品や医療の乳化剤としても使われます。
おからに含まれるイソフラボンは、女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをすることで注目を集めています。
正確にはおからの原料である大豆に含まれている栄養成分ですね。大豆の胚芽(成長して芽になる部分)に多く含まれています。
イソフラボンは女性ホルモンの「エストロゲン」に似た働きをすることから、骨粗鬆症や更年期障害の予防効果が期待されています。
ただし、近年の研究ではイソフラボンの効果を得られる人は日本人で50~60%という結果も出ています。
イソフラボンの働きの核となるエクオールを作ることができる人の割合がその位なんですね。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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