黒光りした独特のフォルムをまとうピータン。中華料理の前菜として知られていますね。
見た目はコーヒーゼリーのように黒く、独特の匂いがあるので苦手な方もいる一方、一度はまるとやみつきになる食べ物です。
クセのある食べ物ですが、意外とファンも多く、その栄養やカラダへの効能はあまり知られていません。
今回はそんなピータンの栄養や効能についてお話ししていきます。一体どんな成分が含まれているのでしょうか?
目次
ピータンの栄養と効能
栄養や効能をご紹介する前に、ピータンとは何かをもう一度確認しておきましょう。
ピータンとは、アヒルの卵を石灰、木灰、食塩、茶、粘土、天然ソーダなどを十分にこねて混ぜ合わせ、卵の殻の表面に塗り、数か月冷所に置いたものです。
石灰によって徐々に殻の内部がアルカリ性となり、卵白は黒茶色の透明に、卵黄は黒緑色に変色します。ピータン特有の黒光りした色は石灰のアルカリによるものだったんですね。
ピータンは中国発祥で、江蘇省や浙江省の特産品として知られています。中華料理では前菜をはじめ、ピータン豆腐や粥などアレンジして料理としても提供されます。
ピータンは基本的にアヒルの卵が使用されますが、鶏卵、うずらの卵、がちょうの卵でも作られことがあります。(この記事ではアヒルの卵を使用した栄養と効果について解説しています。)
独特な見た目と、アンモニアや硫化水素を含む匂いが特徴的で、好みの別れるところですね。一般的に匂いの少ない卵黄が好まれる傾向にあります。
ピータンに含まれている主な栄養成分
ピータンの正体が分かったところで、次は具体的な栄養をチェックしていきましょう。上のグラフはピータンに含まれている主な成分をレーダーチャートで表したものです。
グラフを見ますと、脂質、ナトリウム、鉄分が多く含まれていることが分かります。また、タンパク質やビタミンA、ビタミンB2も多く含まれていることが分かりますね。
ピータンはアヒルの卵を熟成したものですが、脂質や鉄分、ビタミンB2は卵類に多く含まれる栄養素です。鶏卵やうずらの卵なんかにも多く含まれています。
以下ではピータンに含まれる栄養とカラダへの効果・効能を詳しくご紹介していきます。気になる項目がありましたら、チェックしてみて下さい。
ピータンでまず最初に注目すべき栄養は鉄分です。グラフを見て分かるように、ピータンには鉄分が豊富に含まれています。
体内の7割近い鉄は赤血球や筋肉中のタンパク質の構成成分となっています。そして、鉄分は肺から取り込んだ酸素を全身に供給する効能があります。
鉄は体内で吸収されにくく、不足しがちな栄養です。鉄分が不足すると鉄欠乏性貧血を起こすため、鉄分の摂取は貧血の予防に役立ちます。
ちなみにピータンは、鶏卵やうずらの卵よりも多くの鉄分が含まれています。
ピータンにはビタミンAも豊富に含まれています。
ビタミンAは、皮膚やのど、鼻、肺などの粘膜の状態を良好に保つ栄養です。粘膜を保護することから感染症を予防する効能、免疫力を高める効果が期待できます
また、ビタミンAは目が光を感じる際に必要な網膜のロドプシンの主成分となります。そのため、目の健康を保ち、夜盲症を予防する効能も期待できます。
その他、ビタミンAには、高い抗酸化作用が期待できます。抗酸化作用によって有害な活性酸素を除去し、老化の予防やがんを抑制する働きも期待できます。
ピータンには、レシチンやルテインといった成分も含まれています。
レシチンは、神経伝達物質の材料で、記憶力や学習能力を高める効能があります。さらに、レシチンは「脳の栄養素」とも呼ばれ、脳細胞の破壊を最小限に抑え認知症の予防にも効果的です。
ルテインは、カルテノイドの一種で、抗酸化作用があり、活性酸素を抑制して、老化やがんを予防する効能があります。
また、ルテインにもビタミンAと同様に目を健康に保つ働きがあり、白内障や加齢黄斑変性症の予防などの効能もあります。
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
188kcal | 66.7g | 13.7g | 16.5g | 0g | 0g | 780mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
65mg | 90mg | 6mg | 230mg | 3.0mg | 1.3mg | 0.11mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.03mg | 220μg | 6.2μg | 1.9mg | 26μg | Tr | 0.27mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.1mg | 0.01mg | 1.1μg | 63μg | 0.94mg | 16.0μg | 0mg |
ピータン(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
ピータンの栄養と効果をご紹介してきましたが、食べ過ぎにはくれぐれもご注意ください。
上のグラフを見て分かるとおり、ピータンには脂質が多く含まれています。
特に、脂質の一種であるコレステロールが多く含まれており、鶏卵の4~5倍のコレステロール含有量となります。コレステロールを多く摂りすぎると動脈硬化や脂質異常症の原因となります。
また、ピータンにはナトリウムも多く含まれており、塩分の過剰摂取は高血圧やむくみの原因となります。いずれも生活習慣病を引き起こす要因となりますので、食べ過ぎには注意しましょう。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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