今回は寒天に含まれる栄養、その効果や効能をご紹介します。
ところてんの材料として有名な寒天は、天草やオゴノリといった海藻類から作られています。低カロリーなためダイエットに効果的な食材として重宝されています。
ゼリーだけでなく、水で戻した角寒天(棒寒天)を適当な大きさにちぎることで、ノンオイルのドレッシングが絡み、サラダでもとてもおいしく食べることができます。
そんな寒天の栄養や成分、効果を確認していきましょう!寒天とゼラチンの栄養やその他の違いについてもご紹介しています。
目次
寒天に含まれる栄養と効果 一覧
寒天に含まれている主な栄養素のレーダーチャート
上の図は寒天に含まれている栄養をレーダーチャートで表したもので、15種類の栄養素をピックアップして作成しています。
寒天の栄養で最も多く含まれているのが食物繊維です。
また、煮溶かす前の粉寒天や角寒天にはミネラルやビタミンも含みますが、寒天はところてんと同様に9割以上が水分になるので、実際の摂取量は大変少ないと言えます。
こうして、栄養の含有量を図で見てみると、寒天は食物繊維と水分でできているのが良く分かるかと思います。
栄養価的には低いですが、寒天は肥満や生活習慣病のサポートになる食材です。以下では寒天の栄養と成分、効果や効能についてまとめています。
寒天の特徴は、なんと言っても豊富な食物繊維を含んでいることです。
食物繊維は腸内で水分を含んで膨らむ性質のある栄養です。便の量を増やすとともに、腸の蠕動運動も促して便通のリズムを整える効果があります。
その結果、寒天には便秘解消に効果があり、さらに老廃物の排出にもつながります。
ちなにみ、粉寒天や角寒天の食物繊維量は全食品中トップ5に入る豊富さ、全体の約7~8割が食物繊維と大半を占めています。
ただ、寒天は煮溶かして利用するので、実際は100gで1.5g程しか食物繊維は摂れません。それでも、便秘の解消に効果的なのは、たっぷりの水分と便を柔らかくする水溶性食物線維が一緒に摂れるからです。
寒天には、アガロペクチンも含まれていることに注目しましょう。
アガロペクチンは寒天の食物線維を構成している成分の一つで、コレステロールの低下に効果のある栄養です。
アガロペクチンにはドロドロの血をサラサラにする作用があるので、動脈硬化や高脂血症などの生活習慣病の予防に効果が期待できる栄養です。
また、食物繊維は人の消化酵素では消化できないので、一緒に摂った食べ物の消化吸収を遅らせる作用があり、血糖値の急な上昇を抑える効果もあります。
寒天はガラクトースと呼ばれる、乳糖を構成する成分も含んでいます。また、アガロペクチンとともに寒天の食物繊維を構成しています。
母乳にも含まれるガラクトースの効果は、乳児の成長を促進する働きがあります。
ガラクトースは肝臓でブドウ糖に変換されることでエネルギー源になる成分で、血液によって各組織に届けられます。
ガラクトースは寒天の食物繊維を構成しているアガロースの構成成分です。このアガロースを分解してアガロオリゴ糖を生成し、サプリメントも開発されています。
軟骨成分を守り節々の健康をサポートするとして、ロコモティブシンドローム(ロコモ)の予防が期待されています。
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
3kcal | 98.5g | Tr | Tr | 1.5g | 1.5g | 2mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
1mg | 10mg | 2mg | 1mg | 0.2mg | Tr | Tr |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.04mg | 0μg | 0μg | 0mg | 0μg | 0mg | 0mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0mg | 0mg | 0μg | 0μg | 0mg | Tr | Tr |
寒天(ゼリー状)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
寒天は、ダイエット中や肌荒れの予防に最適な食材です。
「便秘は肥満のもと」とも言われ、便通が滞っていると太りやすくなります。それだけでなく、便秘は肌荒れや口臭、体臭にもつながります。
寒天は、便通を改善するだけでなく、低カロリーなうえにお腹の中で膨らんで、食べ過ぎを防ぐ効果があります。
その結果、便秘を解消することで肥満や肌荒れの予防ができ、さらにダイエットの強い味方となってくれる食材です。
寒天とゼラチンに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
寒天とゼラチンは、使用する用途が似ているため混同されがちですが、実はさまざまな違いがあります。
寒天は植物性の海藻が原料です。食物繊維が豊富で100g中2kcalとローカロリーで、常温で固まる性質があるのが特徴です。水ようかんや杏仁豆腐などに利用されています。
そして、ゼラチンは動物性(豚や牛、魚)のタンパク質から作られています。そのため、食物繊維は含まず栄養には鉄分やナトリウムといったミネラルを含み、カロリーは100g中344kcalにもなります。
主にババロアやゼリーに用いられ、さらにゼラチンは冷やさないと固まらない性質があり、これらの点に違いがあります。
両者を一度煮溶かして固めた後、寒天は70℃以上で溶けますが、ゼラチンが溶ける温度は25℃と低く、真夏のような暑い時期は室温でも溶けてしまいます。かならず食べる食前まで冷蔵庫で冷やしておきましょう。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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