あずきの栄養と効能についてお伝えします。和菓子に欠かすことのできない食材「あずき」。
あずきを煮て作るあんこは、おまんじゅうや羊羹などさまざまな和菓子に使われ、海外でも人気を得ている豆類です。
そんなあずきは、健康や美容に効果が期待できる栄養や成分が含まれていることをご存じですか?あずきの効能には食欲抑制ホルモンの分泌を促す働きがあることが分かってきたそうです。
近年はあずきの持つ健康と美容効果から、豆を煮出した「あずき水」が注目を浴びています。そんなあずきに含まれる栄養や効能についご紹介します。
目次
あずきの栄養と効能 一覧
あずきに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
122kcal | 63.9g | 8.6g | 0.8g | 25.6g | 12.1g | 1mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
430mg | 27mg | 43mg | 95mg | 1.6mg | 0.9mg | 0.30mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.44mg | Tr | 0μg | 0.1mg | 3μg | 0.15mg | 0.04mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.5mg | 0.11mg | 0μg | 23μg | 0.43mg | 3.3μg | Tr |
あずき(ゆで)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
上図はあずきに含まれている栄養をグラフで表したもので、下は成分表です。
あずきの栄養で最も注目するのは食物繊維の豊富さです。カリウム、亜鉛、鉄分といったミネラル、ビタミンB1も多めに含み、葉酸は控えめです。
三大栄養素の中では炭水化物が最も多く、次いでタンパク質、脂質は大変少ない量となります。炭水化物に含まれる食物線維は豊富ですが、糖質も比較的多め。茹でたあずきのカロリーは「100g中:143kcal」とさほど高くはありませんが、糖質は「100g中:12.4g」となるので摂りすぎには注意です。
また、あずきにはグラフ上にはないビタミンB群やポリフェノールやサポニンなども含みます。このような機能性成分とともにあずきの栄養と成分、その効能についてご紹介ます。
あずきは食物繊維が豊富な食材です。その量は豊富とされているさつまいもの6.3倍、ごぼうの3倍にもなります。
食物繊維は炭水化物の一種ですが栄養にはならず、消化吸収をサポートする役割があります。腸内の不要物をからめ取りながら移動し、糖質の吸収を緩やかにするとともに血糖値の急な上昇を抑えるため、生活習慣病の予防や大腸がんを防ぐ効能があります。
食物繊維は腹持ちをよくするため、食べ過ぎを防いでダイエットにも役立ちます。その他、腸を刺激して便秘を解消する効能に加え、ラフィノースやスタキオースといったオリゴ糖も含むため、よりお腹の調子を整える効能が高いのです。
ただし、あずきは不溶性食物繊維が多いため、摂りすぎるはかえって便秘やお腹が張る原因になります。水分も一緒にしっかりと摂るようにしましょう。
あずきに含まれる栄養には、カリウムの効能も注目されています。
カリウムは体内の余分な水分を排出してむくみを解消する効能があります。また、サポニンにもカリウムと同じく利尿作用があり、さらに食物繊維の便秘改善の効果も加わるので、あずきはよりむくみに効果的な食品なのです。
その他カリウムの効能には、筋肉を正常に動かしたり収縮させる働きにも関わり、脚がつるのを防ぐ働きもあります。
サポニンにはコレステロールや中性脂肪を排出するといった効能や働きもあることから、動脈硬化の予防と改善に大きな効能が期待できます。
あずきなどカリウムを含む食事を心がけ、カリウム不足を解消しましょう。
あずきに含まれるポリフェノールには、アントシアニン、カテキン、ルチン、ケルセチンなどが含まれています。
あずきのポリフェノールは外皮に多く含まれます。強い抗酸化作用がある栄養なので、効能にはアンチエイジングが期待できます。悪玉コレステロールの増加を抑制し、高血圧、動脈硬化といった生活習慣病の予防にも効果的です。
また、食事で摂取した糖や脂質の分解・吸収を抑えるとともに、血糖値の上昇を緩やかにするため、血中の中性脂肪値を低下させ体脂肪の蓄積を防ぐ効能もあります。その結果、体重を減らしたりメタボ予防に効果的とされています。
間食では同じカロリー摂取でも、あずきを使ったお菓子がポリフェノールやタンパク質を摂ることができるので、おすすめかもしれません。
あずきには、ミネラルの一種であるモリブデン、銅、鉄分、亜鉛も含まれています。
これらミネラルは貧血の予防に関わる栄養です。鉄分は赤血球中のヘモグロビンの構成成分で、全身に酸素を運ぶ大切な役割があります。そして、モリブデンは体内で鉄分の利用を促がし、銅は鉄分の働きを促進させる効能があります。
また、赤血球の膜はタンパク質で作られています。亜鉛はタンパク質の合成を促す補酵素として関わるため、亜鉛が不足すると赤血球の膜がもろくなり貧血の原因になります。
その他、銅の効能は白髪の予防と改善にも期待がもてます。銅はあまり注目されることのない栄養ですが、酵素の材料や神経伝達物質の生成などの役割を担っています。
あずきの主成分は炭水化物で約59%を占めています。そしてエネルギー源となる糖質は「あずき100g中:約40g」も含んでいます。
炭水化物は食物繊維と糖質が合わさった栄養です。糖質の主な効能や働きは体や脳を動かすエネルギー源となり、グリコーゲンとして体内にエネルギー源を溜めておくといったとても大切な役割があります。
糖質はタンパク質や脂質よりもエネルギーとしての利用が早いのが特徴です。そのため、疲労回復や夏バテといった症状を改善してくれる効能があります。
そして、糖質の代謝にはビタミンB1が必要ですが、あずきにはこの栄養も多く含まれています。糖質の代謝をサポートし効率よくエネルギーに変えることができます。
ビタミンB1はあずき以外にも、豚肉や豚レバー、ブリといった食品にも含まれるので、糖質を多く含む食品と合わせて摂るのが効果的です。
あずきは全体の約20%がタンパク質です。三大栄養素の中でも炭水化物の次に多く「糖質2:タンパク質1」の割合で含まれています。
タンパク質は体内のあらゆる組織を作るために必要な栄養。酵素やホルモンの材料、免疫力の向上などの効能があり、時にはエネルギー源としても働きます。
植物性タンパクのメリットは、動物性と違って脂質をさほど取らずに摂取できところです。毎日適量を摂ることによって健康な体を保つことができます。そして、タンパク質を体内で効果的に利用するには、ビタミンB6が必要。マグロやかつおなどに多く含まれるのであずき料理と一緒に摂るのがおすすめです。
また、あずきのような植物性タンパク質だけでなく、肉や魚などの動物性タンパク質も摂り、バランスの良い食事を心がけましょう。
あずきを煮出して作る「あずき水」というものがあります。それをお茶のように飲むだけで、煮汁に溶けだした水溶性の栄養を摂ることができます。
作り方は簡単です。あずき50gに対してお水750ml~1Lを鍋に入れ、沸騰したら弱火で30分煮出して完成です。
煮汁にはポリフェノールやビタミンB1、葉酸、カリウムなどの栄養が含まれています。食前に飲むことで、糖質や脂質の吸収やむくみを防ぐ効能が得られると人気があります。
煮たあずきには不溶性食物繊維やタンパク質などが残っているので、捨てずにサラダのトッピングなどに利用しましょう。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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