鶏肉の栄養と効果についてご紹介します。焼き鳥、鶏の唐揚げ、チキンソテーなど、使い勝手がよくさまざまな料理で親しまれている鶏肉。
牛肉、豚肉と並んで馴染みのあるお肉の一つですね。最近では鶏肉に含まれる栄養に疲労回復効果があると注目されています。
柔らかくてジューシーな鶏肉は高タンパク低脂肪なので、ダイエット中の方にもおすすめなお肉です。
今回のテーマはそんな鶏肉。知っているようで知らない鶏肉の栄養と効果を学んでいきましょう。
目次
鶏肉の栄養と効果
鶏肉には良質なタンパク質が多く含まれており、必須アミノ酸のバランスが良く、おまけに消化吸収率にも優れています。
「日本食品標準成分表2020」より (可食部100gあたり)
上のグラフは鶏肉と主な肉類のタンパク質の含有量を比較したものです。鶏肉に限らず、豚肉、牛肉などの肉類はタンパク質が豊富に含まれています。鶏肉の中では、むね肉やささみに多くのタンパク質が含まれていることが分かりますね。
ちなみに、タンパク質を多く含む食品は肉類以外に、魚、チーズ、卵なども挙げられます。
タンパク質は三大栄養素の一つで、筋肉や臓器、皮膚や爪などカラダそのものになる栄養です。筋肉をつけたい方はもちろん、健康的なカラダを維持していく上でも欠かせない栄養ですね。
また、鶏肉は豚肉や牛肉に比べて淡白で食べやすいので、子どもからお年寄りまで幅広い世代におすすめのお肉です。ちなみに、胃や腸が弱い人には脂質をほとんど含まない鶏ささみがおすすめです。
鶏肉の栄養には必須アミノ酸の一つであるメチオニンが豊富に含まれています。
鶏肉に含まれるメチオニンには肝臓の機能を高めたり、毒素を排出したりする作用があります。
また、メチオニンは肝臓に脂肪を溜めにくくする働きもあり、中性脂肪が肝臓にたまる脂肪肝を防ぐ効果があります。
お酒をよく飲む方にはおすすめの栄養ですから、おつまみには鶏肉を使ったシンプルなやきとりがいいでしょう。
鶏肉のなかでも、鶏もも肉の脂肪に含まれる不飽和脂肪酸は、血中コレステロールを抑えてくれるため、血栓の予防に効果があります。
お肉の脂質は身体に良くないと思われがちですが、脂肪の摂取は細胞を作り、生命を維持するうえで不可欠なのです。
鶏肉に含まれる不飽和脂肪酸の量は、他の肉類に比べても多く含まれています。
ただし不飽和脂肪酸は酸化しやすいので、鶏肉は購入したら早めに食べるようにしましょう。
鶏肉の栄養ではビタミンAが豊富に含まれています。
特に、鶏むね肉や鶏ささみにはビタミンAがたくさん含まれていて、なんとその含有量は豚肉や牛肉の10倍以上!
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を保つ働きが、乾燥肌など肌荒れの予防効果に優れます。そして、眼精疲労の軽減、骨の発育にも効果があります。
また、ビタミンAは鶏レバーにも豊富。苦手な方が多い部位ですがレバーも積極的に摂りましょう。
鶏むね肉や鶏ささみの栄養には、イミダゾールジペプチド(イミダペプチド)や、ビタミンB群のひとつであるナイアシンが含まれています。
イミダゾールジペプチドは、鶏肉のなかでも鶏むね肉に多く含まれています。ナイアシンは、鶏肉以外の肉類や魚類、野菜にも多い成分です。
疲労は、激しい運動などによって体内に発生した活性酸素が、細胞の働きにダメージを与え、エネルギー生産を低下させることによって、脳がカラダの疲れを感じるようになります。
イミダゾールジペプチドに抗酸化作用があり、この活性酸素の働きを抑制して、疲労の回復を促す効果があります。
ナイアシンにはアルコールを分解する働きがあり、二日酔いに効果的で疲労回復にも役立ちます。お酒を飲む機会が多い年末年始に鶏肉は最適な食べ物です。
鶏むね肉や鶏ささみに含まれるビタミンB2は、成長期の子どもには必要な栄養です。
ビタミンB2は三大栄養素をエネルギーに変えるのに必須の成分で、エネルギーを多く消費する方にとっては必須。
皮膚や爪や髪の細胞の再生など成長の促進に効果があり、口内炎や口角炎、皮膚の炎症を予防する効果や効能もあります。
また、過酸化脂質の分解も促す働きがるので、動脈硬化や心筋梗塞の予防にもつながります。水溶性のビタミンなので栄養を余すことなく摂るには、じっくり煮込んだ鶏のスープなどがおすすめです。
鶏肉にはコラーゲンも含まれています。
中でも鶏の手羽肉にはゼラチン質であるコラーゲンが多く含まれています。コラーゲンはタンパク質の一種で、肌の乾燥を防ぎ、プルプルの肌をつくる効果があります。
ちなみに、コラーゲンは水溶性なので、ビタミンCと一緒に摂ることでプルプル肌効果はいっそう高まります。
コラーゲンやビタミンA、ビタミンB群との相乗効果で、美肌づくりに絶大な効果を発揮してくれます。
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
234kcal | 62.9g | 17.3g | 19.1g | 0g | 0g | 42mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
160mg | 8mg | 16mg | 110mg | 0.9mg | 1.7mg | 0.07mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.01mg | 47μg | 0.1μg | 0.1mg | 62μg | 0.07mg | 0.23mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
3.8mg | 0.17mg | 0.5μg | 6μg | 1.57mg | - | 1mg |
鶏肉(もも 皮つき 生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
鶏肉はクセがなく、多くのレシピで楽しめるお肉です。唐揚げやチキン南蛮、水炊き、トリハムなど、焼いたり煮たり、揚げたりと幅広く利用できます。
好き嫌いがはっきりと分かれる食べ合わせですが、唐揚げとレモンの組み合わせは、鶏肉のコラーゲンの吸収をレモンのビタミンCが高めてくれます。
鶏肉のコラーゲンは鶏もも肉の皮に豊富です。ただし、揚げ物なので食べ過ぎないように気をつけましょう。
この他、効果や効能別で鶏肉との相性がいい食材は、肌荒れ予防に「人参」、老化防止は「トマト」、消化促進や胃腸の健康維持に「大根おろし、もやし、キャベツ」。また、イスラエル料理では「鶏肉+ぶどう」で、スタミナや美容効果を期待する食べ方があります。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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