今回は、人参の栄養や効果についてご紹介していきます。鮮やかなオレンジ色が魅力の人参。カレーやシチューにと定番の人参ですが、子どもだけでなく大人も苦手とする野菜のひとつです。
人参は緑黄色野菜になります。カロテンのイメージが強いですが、他にも多くの栄養が含まれています。
人参は「西洋系」と「東洋系」の2つに大別できます。普段私たちが食べているオレンジ色が「西洋系」、金時や島にんじんは「東洋系」となります。
そして、種類によって含まれる栄養が異なり、一般的な人参(5寸)にはβ-カロテン、赤色が特徴の金時にはリコピン、紫色のものにはアントシアニンが含まれています。
目次
人参の栄養と効果 一覧
「日本食品標準成分表2015」より (可食部100gあたり)
人参の栄養で注目するのが、β-カロテンです。
上のグラフは、人参とその他の野菜とのβ-カロテン(当量)を比較したものです。人参のβ-カロテン量は「しそ」や「モロヘイヤ」には劣りますが、ほうれん草の2倍もの量を含み、全食品の中でもトップクラスの含有量となります。
β-カロテンは強い抗酸化作用をもつ栄養です。がんの予防効果があるとされ、特にすい臓がんや肺がんの予防に効果が期待されています。
また、人参は同じく抗酸化作用をもつ「クマリン」と呼ばれるポリフェノールも含みます。そのため、β-カロテンやクマリンには、動脈硬化などの生活習慣病や老化の予防にも効果があります。
野菜類のβ-カロテン量はしそやモロヘイヤがダントツですが、サラダや煮物、炒めものと食べる機会が多いことから、β-カロテンを摂取しやすい野菜と言えるでしょう。
人参の栄養にはカリウムも含まれています。
カリウムはミネラルに分類される栄養です。過剰に摂りすぎた余分なナトリウムを体外に排出し、むくみを改善する作用が有ります。
また、塩分の摂りすぎは血圧の上昇の原因にもなるため、ナトリウムを上手に排出するカリウムには、高血圧の予防や改善にも有効な栄養です。
さらに、人参に含まれるクマリンには、血流を促す働きもあるため、むくみを改善する作用がより強くなります。
人参に含まれている栄養には、第六の栄養素と呼ばれる食物繊維も。また、飛び抜けた量ではないものの、カルシウムや鉄、ビタミンC、ビタミンB群などの栄養も含みます。
人参の食物繊維は不溶性食物繊維を多く含んでいます。便の量を増やしたり、腸内細菌の餌となって腸内環境を整え、便秘の改善に効果を発揮します。
また、糖質(炭水化物)の吸収を抑制して、血糖値の上昇を抑えるとともに、腹持ちを良くするなどの効果もあるため、肥満や食べ過ぎの予防にも有効です。
ビタミン、ミネラルなどの栄養は、人参の葉や皮に多く含まれています。β-カロテン含有量のグラフを見ても分かるように、皮付きと皮なしでは量が違ってきます。なるべく皮や葉は捨てずに調理するのがおすすめです。
こちらも人参に含まれるβ-カロテンの効果。
β-カロテンは必要に応じて体内でビタミンAに変換される栄養です。
ビタミンAは目の保護や、皮膚や粘膜を丈夫にする効果があり、夜盲症や眼精疲労、口内炎や肌荒れなどを予防します。
さらに、人参はβ-カロテンに加え、ビタミンCやビタミンB群、クマリンなど美容に適した働きをする栄養も含むため、相乗効果によって美肌効果を発揮します。
β-カロテンは脂溶性のビタミンです。油を使った調理法はβ-カロテンの吸収率をアップさせます。
β-カロテンを摂る場合は、サラダではオリーブオイルを使ったドレッシングやマヨネーズを利用するのが良いでしょう。
また、人参は火を通すと甘みが引き出され、口当たりもよくなるため葉や皮も食べやくなります。
人参の効果アップする組み合わせでは、人参と豚肉の炒めものはタンパク質が加わるため免疫力の強化に、玉ねぎやトマトは老化防止や肥満予防に有効です。
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
35kcal | 89.1g | 0.7g | 0.2g | 9.3g | 2.8g | 28mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
300mg | 28mg | 10mg | 26mg | 0.2mg | 0.2mg | 0.05mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.12mg | 720μg | 0μg | 0.4mg | 17μg | 0.07mg | 0.06mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.8mg | 0.10mg | 0μg | 21μg | 0.37mg | - | 6mg |
人参(皮つき 生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
人参には「アスコルビナーゼ」と呼ばれる酵素が含まれています。
アスコルビナーゼは他の食材に含まれているビタミンCを破壊します。人参を細かく切ったりすり潰すなどで、空気に触れると酵素の働きが強くなります。
アスコルビナーゼの働きを止める方法は、お酢(酸)を加えたり50℃以上の加熱調理がポイントです。
ドレッシングや野菜ジュースにはお酢やレモンなどのかんきつ類を加えたり、炒めたり煮たりでアスコルビナーゼの働きを止められるので、ビタミンCを壊さずに摂取することができます。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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