ふきに含まれている栄養と効能を解説していきます。独特な香りと苦みが特徴的な山菜である"ふき"。数少ない日本原産の山菜のひとつです。
冬に黄色い花が咲くことで知られ、冬黄(ふゆき)から「ふき」と呼ばれるようになったそうです。ふきのつぼみ(ふきのとう)は、春の到来を教えてくれます。
ふきの特徴でもある香りと食感を活かした、醤油と砂糖で煮た佃煮のキャラブキは常備菜として人気ですね。
今回は、そんなふきの栄養と成分、効能についてじっくりと見ていきましょう!
目次
ふきの栄養と効能
ふきに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
11kcal | 95.8g | 0.3g | 0g | 3.0g | 1.3g | 35mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
330mg | 40mg | 6mg | 18mg | 0.1mg | 0.2mg | 0.05mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.36mg | 4μg | 0μg | 0.2mg | 6μg | Tr | 0.02mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.1mg | 0.01mg | 0μg | 12μg | 0.07mg | 0.2μg | 2mg |
ふき(葉柄、生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
上図はふきの栄養を15種類の主要栄養素で表したレーダーチャート、下は成分表です。
ふきの栄養の中ではカリウムが多く、食物繊維やカルシウムはそこそこの量、その他少ないですがビタミンやミネラルなども含みます。
ふきは水分が96%近くあるので際立って高いものがありませんが、ふきで注目するのは特徴的な香りの成分です。機能性成分であるため5大栄養素には含まれていませんが、抗酸化作用など特有の働きをします。
以下ではこれら栄養や成分を含め、ふきの効能についてお伝えしていきます。
ふきにはカラダに必要なミネラルのひとつである、カリウムが含まれています。
カリウムはナトリウムとともに、体内の細胞の浸透圧のバランスをとる栄養です。効能や効果では、血圧の上昇を抑えて高血圧の予防したり、むくみの予防や改善に有効です。
また、カリウムには筋肉の収縮をスムーズにしてくれる作用もあります。筋肉の痙攣の予防効能もありますが、筋肉の塊である心臓の働きにも関わり、筋機能を調整する働きがあります。
カリウムは摂り過ぎても尿や汗として排出されるので、過剰摂取を心配する必要はあまりありません。
ふきの特徴でもある香りや苦みは、機能性成分であるポリフェノールによるものです。
ふきの苦味には「キノール酸」や「ケンフェロール」が、香りには「フキノリド」と呼ばれる成分が含まれています。
これらに共通する効果や効能は抗酸化作用です。動脈硬化といった生活習慣病の予防や老化を防ぎ、免疫力を高める作用もあるので風邪の予防にも効果があります。また、花粉症を緩和する働きにも期待が高まっています。
フキノリドの効能には消化液を促進する働きもあるので、消化を促がして胃腸の働きを良くしてくれます。
この他にも、ふきは色素成分であるβ-カロテンやクロロゲン酸などのポリフェノールを含みます。5大栄養素の含有量は少ないふきですが、こういった機能性成分の種類に長けていると言えるでしょう。
ふきは第6の栄養と呼ばれる食物繊維も含み、中でも不溶性食物繊維の方が多くなります。
食物繊維には腸を刺激して蠕動運動を活発にする効能があるので、便通を促す効果があります。そして腸内の水分を含んで便の量を増やす作用もあるので、排便をさせやすくしてくれます。
食物繊維の効果や効能にはこの他にも、コレステロールの吸収を抑えたり、血糖値の急激な上昇を抑える働き、満腹感が得られるため食べ過ぎを抑えるなどの効果が期待できます。
ふきは不溶性食物繊維が多いので、海草などの水溶性食物繊維を含む食品を一緒に食べるのがおすすめです。便を柔らかくすることでスムーズな排便を促し、便秘を解消する効能がより高まります。
ふきには葉酸が含まれていますが、特に葉の部分に多く存在します。
葉酸は妊娠を望んでいる人や妊娠中に必要な栄養のひとつです。胎児の成長に必要不可欠で、神経や脳の発育に関係しています。
また、造血のビタミンとも呼ばれている葉酸は、赤血球やヘモグロビンを合成する働きがあり、貧血の予防に効能があります。
その他にも、カルシウムやリンといったミネラルも含み、骨を丈夫にすることで骨粗鬆症の予防に効能があります。また、カルシウムは神経の刺激伝達に作用して、緊張や興奮を抑え、イライラを解消してくれる効能があります。
ふきはアクが強く必ずアク抜きをしてからでないと食べれません。手間もかかるため、あらかじめ下処理をしたふきの水煮が販売されています。
ふきの水煮の栄養はメーカーの加工によって多少異なるので、パッケージに記載されている成分表を確認するのが的確でしょう。
茹でたふきは生よりも若干水分量が増えるので、その分グラム当たりの栄養が少なくなります。また、水溶性の栄養成分も溶け出しますが、これはアクを抜かなければいけないので、仕方がないと言えるでしょう。
水煮と自宅で茹でたふのでは、どちらが良いとは言えませんが、香りや食感などふきの特徴を楽しむためには、購入したばかりのふきを自宅で処理する方が楽しめるでしょう。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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