ずいきの栄養と効能をご紹介します。ずいき(芋茎)は、はす芋や里いも類の葉柄(ようへい)の総称で「赤、白、青」の3種類があります。
一般的に、ずいきと言えば赤ずいきを指しますので、ここでも赤い種類のものをずいきとしてご紹介していきます。
断面はスポンジのようになっていて、味がしみ込みやすく、おひたしや煮物として食されることが多いですね。
一般的にはあまり知られていませんが、ずいきはそのヘルシーさから注目を集める食材です。今回は、ずいきの栄養とその効能について、さらにずいきと芋がらの違い、アク抜きの方法もまとめてみました。
目次
ずいきの栄養と効能
ずいきに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
16kcal | 94.5g | 0.5g | 0g | 4.1g | 1.6g | 1mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
390mg | 80mg | 6mg | 13mg | 0.1mg | 1.0mg | 0.03mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
2.24mg | 9μg | 0μg | 0.4mg | 9μg | 0.01mg | 0.02mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.2mg | 0.03mg | 0μg | 14μg | 0.28mg | - | 5mg |
ずいき(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より)
上のグラフはずいきに含まれる栄養と成分です。主な栄養素を代表して作られています。
主要栄養素の中で注目される栄養はミネラル類ですね。ビタミンよりもカリウムやカルシウムといった栄養が目立ちます。それほど多くはありませんが食物繊維も含まれています。
そして、カロリーが低く、イモ類の葉柄ですが糖質も少ないため、ヘルシーな食材です。
以下では、ずいきの栄養やその効能についてお伝えします。グラフ上には載っていない栄養成分も含んでいますので、そちらについてもご紹介していきます。
ずいきはミネラルの一種である、マンガンの含有量が高い食材です。この栄養はグラフ上には載せていませんが、野菜類の中では上位に位置します。
下の図はずいきと他の野菜類を比較した、マンガンの含有量のグラフ(干しの茹で以外は、いずれも生)です。
「日本食品標準成分表2015」より (可食部100gあたり)
干しずいき(芋がら)は水分が抜けている分、各成分の含有量が高くなります。生のずいきのマンガン量は生姜と比較すると少ないですが、野菜類ではトップクラス。モロヘイヤなどの緑黄色野菜よりも多い含有量です。
生姜はマンガンが豊富ですが、一度に食べられる量が限られます。一方、ずいきは煮物などにすると沢山食べられるので、食事での摂取量では生姜よりもずいきの方がマンガンを多く摂れると言えるでしょう。
マンガンは3大栄養素の代謝を促す酵素の構成成分で、 正常な代謝をサポートする効能があります。神経の伝達コントロールにも関わる栄養で、神経の機能を正常化させる効能や効果もあります。
骨の健康維持や骨の再石灰化を促す効能がありますが、ずいきはカルシウムも含むので、より健康で丈夫な骨作りに有効な野菜と言えます。
この他にも、味覚の維持や酵素の成分として働く亜鉛、むくみや高血圧予防の効能があるカリウムといったミネラルも含んでいます。
ずいきには、皮の表面に近い部分にアントシアニンが多く含まれています。赤いずいきの赤色はアントシアニンによるものです。
アントシアニンは強い抗酸化作用があるため、老化防止の効能が期待できます。メタボリックシンドロームの予防にも有効で、内臓脂肪が溜まるのを防ぐ効能があり、動脈硬化や高血圧の予防効果も期待されています。
また、アントシアニンの効能や効果には視力向上の作用もあるので、目の使いすぎが気になる方は特に多く摂りたい栄養と言えますね。
アントシアニンはポリフェノールに分類される栄養で多くの効果や効能が期待されていますが、シミやシワの予防といった美容面でも活躍する成分です。
ずいきにはビタミンKと呼ばれる栄養が含まれています 。あまり聞きなれない成分で効能もいまいち分かりにくいですが、重要な働きをしています。
ビタミンKには血液を正常に固める効果があるので、けがや手術などで出血したときに傷口からの流血を止める効能があります。
特に正常な止血の働きは、出産などを経験する女性にとって必要不可欠な栄養と言えるでしょう。
また、ビタミンKも骨に関わる栄養です。カルシウムを骨に取り込んで、骨の形成をサポートする効能もあるので、骨粗鬆症が心配される老年期にも必要です。
ずいきの栄養には食物繊維も含まれています。水溶性に比べて不溶性食物繊維の方が多く含まれています。
不溶性食物繊維は、腸を刺激して排便を促して便秘を解消する効能があります。また、水分を吸って膨らむので、便の量も増やし排便をさせやすくします。
腸内の水分を吸収する性質もあるため、効能や効果路発揮するには、水分をたっぷりと摂取したり、水溶性食物繊維が豊富な海藻も一緒に食べるのが望ましいですね。
また、便通が良くなると肌荒れやむくみも解消されます。ずいきはカリウムも含むで、むくみを解消する効能にも長けていると言えます。
ずいきと芋がらの違いは「生のずいき」か「乾物のずいき」かの、呼び方の違いです。干して乾燥させたものを「芋がら」と呼びます。芋がらは皮を剥いて乾燥させたもので、一晩水につけて戻し茹でてから調理をします。
以下はずいきの生と茹で、茹でた芋がらの主な栄養を比較したものです。
栄養素、 エネルギー |
ずいき生 | ずいき茹で | 芋がら茹で |
エネルギー | 16kcal | 12kcal | 13kcal |
食物繊維 | 1.6g | 2.1g | 3.1g |
糖質 | 2.5g | 1g | 0.3g |
マンガン | 2.24mg | 1.69mg | 2.25mg |
ビタミンK | 9μg | 14μg | 3μg |
カルシウム | 80mg | 95mg | 130mg |
カリウム | 396mg | 76mg | 160mg |
ずいきと芋がらの栄養成分(100g中の含有量)の比較
ずいきは生では食べられず、必ず茹でてアクを抜いてから食べます。そのため水溶性の栄養は生の状態の時よりも減ってしまいます。茹でたずいきと芋がらの栄養の違いを比較すると、芋がらの方がミネラル類が多く、糖質とビタミンKが少なくなっています。
ずいきにはビタミンDが含まれていません。カルシウムはビタミンDを含むきのこ類と一緒に摂取し、体内への吸収力を上げることで、効能を十二分に引き出すことができます。
ずいきはアクの強い食材なので、食べる前には必ずアク抜きが必要です。
まず、水洗いをしたら薄く皮をむいて、適当な大きさに切り分け、酢を加えた水に1時間ほど漬けておきましょう。その後、酢水で茹でさらに水にさらします。
これでエグミがなくなり、ずいきをおいしく食べるための下ごしらえが完了します。
また、葉柄専用のずいきも栽培されています。こちらは通常のずいきよりもアクが少なく、そのまま利用できます。
引用および参考:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
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