さわらに含まれている栄養と効能をご紹介します。漢字で「鰆」と書くように、さわらは春を告げる魚として知られています。
さわらの身は、くせが少なく淡泊な味わいのため、さまざまな調理法を通して食卓に登場する万能な魚です。
また、日本では古くから冠婚葬祭に用いられ、さわらは懐石料理には欠かせない魚です。
今回は、このさわらの栄養と成分、その効能について、詳しく調べてみました。
目次
さわらの栄養と効能 一覧
さわらに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
177kcal | 68.6g | 20.1g | 9.7g | 0.1g | 0g | 65mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
490mg | 13mg | 32mg | 220mg | 0.8mg | 1.0mg | 0.03mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.01mg | 12μg | 7.0μg | 0.3mg | 0μg | 0.09mg | 0.35mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
9.5mg | 0.40mg | 5.3μg | 8μg | 1.16mg | - | Tr |
さわら(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より)
上図はさわらに含まれている栄養をグラフにしたもので、15種類の栄養を代表してレーダーチャートを作成、下は成分表です。
さわらに多く含まれているのは、タンパク質とビタミンB2、次いで脂質といった栄養です。
ミネラル類ではカリウムや亜鉛が含まれており、鉄分もそこそこの量を含みます。グラフで示した栄養以外ではほどよい量のビタミンB郡やビタミンD、マグネシウムなども。
また、魚は頭側がおいしいと言われすが、さわらは尾に近い方がおいしいそうです。下記ではさわら含まれる栄養とその効能について説明しています。
さわらは良質なたんぱく質を含む魚です。必須アミノ酸がバランスよく揃っており、アミノ酸スコアは「100」となります。
タンパク質は、肌や爪、髪、筋肉、臓器といった人の身体を作るのに必要不可欠な栄養です。これら以外にも免疫力に関わる免疫抗体、ホルモン、酵素などを作るのにもタンパク質が必要です。
摂取したタンパク質は体内でアミノ酸に分解された後、再びタンパク質に合成されます。この分解と再合成を繰り返すうちに、使われたり排泄などで徐々に体内からなくなるため、その分は食事で補わなければいけません。
中でも、体内で合成できない必須アミノ酸は、食事から摂取する必要があり ます。さわらのタンパク質は十分な量の必須アミノ酸を含んでいるため、健康な身体や美肌づくり、そしてそれを維持する効能に長けているでしょう。
さわらの脂質には、不飽和脂肪酸の一種であるDHAやEPAを含みます。
DHAやEPAは血管の柔軟性を保ち、血液をサラサラに して流れを良くする効能で知られる栄養です。その他、中性脂肪の低下や血栓を防ぎ、脂質異常症や高血圧、動脈硬化の予防にも効果や効能があります。
また、脳の神経細胞の10%はDHAが存在します。緑茶とDHAを一緒に摂ると脳の老化予防になるとその効能が期待されています。
DHAやEPAの含有量は、サバやさんまなどには劣りますが、さわらも十分な量を含みます。一日一食はさわらをはじめとする魚を食べるのがおすすめです。そして、亜麻仁油などに含まれるα-リノレン酸の摂取で、EPAとDHAを体内で合成 することができます。
DHAやEPAは一緒に取る方が効果や効能が向上するとして、サプリメントの多くが一緒に含まれています。
さわらの栄養は、ミネラルの一つであるカリウムも含んでいます。「100g中490mg」と、生の魚類の中では3位にになるほどの含有量です。
カリウムの効能の一つに高血圧の予防が挙げられます。カリウムには利尿作用があるため、体内の過剰なナトリウムを排出。肝臓でナトリウムが再吸収されるのを防ぎ、血圧が上がるのを抑えます。
この他にもナトリウムを排出することで体内の水分を調整するので、さわらにはむくみの予防といった効能もあるのです。
カリウムは様々な細胞の働きをサポートしているため、欠乏すると疲労や脱力感、食欲不振といった症状が現れます。
さわらには、カルシウムやリン、マグネシウム、ビタミンDといった栄養も含まれています。これら栄養にはそれぞれに様々な働きがありますが、共通する効能は健康な骨作りです。
カルシウムは骨や歯を形成するミネラル。約99%が骨や歯に存在します。マグネシウムは60~65%が骨に含まれており、カルシウムやリンとともに骨を構成。リンはカルシウムとマグネシウムに結合して骨作りに関わりるので、どれも骨の成分として重要な栄養です。
ビタミンDはカルシウムやリンの体内吸収を助けて、健康な骨作りや骨粗鬆症の予防といった効果や効能をアップします。
ビタミンDはさわらなどの食品からも摂取できますが、日光浴でも生成できる栄養素です。脂溶性の栄養素なので過剰摂取は禁物ですが、成長期や老年期また妊娠期間には意識して摂りたい栄養でしょう。
さわらにはビタミンB群の中でも、ビタミンB2が多く含まれています。
ビタミンB2の効能には三大栄養素がエネルギーになるための補酵素の役割がありますが、中でも脂質の代謝に大きく関わります。
すでに作られてしまった過酸化脂質を分解し、動脈硬化や老化を予防する効能があります。また、肌や髪の細胞も作り成長の促進にも働きます。
ビタミンB2はエネルギー消費が多い人ほど必要となる栄養のため、運動をよくする方はさわらやレバーを食べてしっかりと摂取したい成分ですね。
さわらにはビタミンB2以外にも、多くはありませんがビタミンB6やB12、ナイアシンなどのビタミンB群を含みます。
ビタミンB群の各栄養はそれぞれに働きや効能がありますが、おもに三大栄養素の代謝を促がして、エネルギーの生成をサポートする効能があります。また、ビタミンB群として働くことで各栄養がお互いに作用し、相乗効果を発揮します。
さわらに含まれるビタミンB12の効能には、神経の機能を正常に保ったり、末梢神経を修復、造血作用もあるため貧血気味の方にとっても必須の栄養です。
ビタミンB6は主にタンパク質の分解と合成を行う栄養で、脂質の代謝促進や脂肪肝を防ぐ効能が期待できます。ナイアシンは二日酔いや悪酔いに対する効能で有名ですが、不足すると皮膚炎や発しんの原因にもなります。
これらビタミンBは、植物性の食物からは摂取しにくい栄養素で、さわらのような動物性の食品から摂取する必要があります。
国内におけるさわらの主要産地は、福岡県や長崎県、福井県など。
最近は、中国からの輸入物が増えてきたものの、寒い時期にとれた国産のさわらは「寒ざわら」と呼ばれ、特に身が締まっておいしいとされます。
大きいものは刺し身、やや小ぶりは焼き魚などにして食べられます。さわらの生は白身魚と青魚のどちらの良さも兼ね備えた味わいです。
さわらは身がとてもやわらかく、手に持っただけで身崩れを起こすほど。扱いに気を付けたい、デリケートな魚なのです。
引用および参考:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
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