和食の出汁をとる食材として欠かせない「にぼし」。
にぼしは、主にカタクチイワシを煮て干したもので、栄養が豊富に詰まった小魚です。同じく出汁に使われるかつお節とは一味違った風味があります。
にぼしの呼び方は地域によって違いがあり、東は「にぼし」西は「いりこ」と呼ばれ、また、使われる魚はきびなご、アジ、鯛など様々です。
今回は、にぼしの気になる栄養と効果を詳しく紹介していきます。
目次
にぼしの栄養と効能
にぼしには良質なカルシウムが豊富に含まれています。
カルシウムは、健康な骨や歯を作るために欠かせない栄養です。これはみなさんご存知の栄養効果ですね。
また、カルシウムは精神を安定させる働きもあるため、ストレスによるイライラや怒りっぽい正確などを改善してくれます。
さらに、にぼしにはカルシウムの吸収を促進する、ビタミンDも含まれています。にぼし自体にカルシウムとそれを促進するビタミンDが含まれているため、効率よくカルシウムを摂取することができます。
成長期の子どもや骨粗鬆症になりやすい妊婦・高齢者の方、日頃からストレスを感じやすい方は、にぼしを積極的に摂取しましょう。
にぼしには、いわしペプチドという成分が含まれています。
いわしペプチドは、いわしのタンパク質が酵素によって分解された成分です。いわし特有の栄養成分とも言えますね。
いわしペプチドは「サーディンペプチド」とも呼ばれ、血圧を下げる働きがあり、高血圧の改善に効果があります。
高血圧は、めまいを起こしやすくるだけでなく、血管を弱くして脳出血や大動脈解離など、血管系の病気を引き起こす原因にもなります。
血圧は130を超えていると「高め」と判断されます。該当する方は、にぼしをうまく摂取して、血圧の上昇を防ぎましょう。
にぼしは、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。
DHAには、血管そのものの柔軟性や血栓を溶かす働き、血液中の悪玉コレステロール値を減らすことができるため、血液をサラサラにする効能が期待できます。
また、DHAには脳の働きを活性化する役割もあり、記憶力増強や認知症予防にも効果を発揮します。
記憶や空間学習に関わる海馬には2倍以上のDHAが集中しているため、DHAを摂取すると、集中力や記憶力の向上が期待できます。受験生を持つ親御さんやビジネスマンはぜひ、押さえておきたい栄養ですね。
にぼしにはEPAも豊富に含まれています。
EPAは、DHAと同じように魚介類に多く含まれている不飽和脂肪酸のひとつで、特に血液中の中性脂肪を減らす効果があります。
血液中の中性脂肪が減ると、血液をサラサラに保つことができるため、血管年齢の若返りの期待や、動脈硬化、心筋梗塞の予防にもつながります。
また、EPAにはアレルギーの原因となるプロスタグランジンやロイトコリエンという物質を抑制する作用があるため、アトピー性皮膚炎などの症状の緩和効果も期待できます。
にぼしには、ビタミンB12が豊富に含まれています。
ビタミンB12は「赤いビタミン」とも呼ばれる栄養で、葉酸と協力して正常な赤血球を作ります。
そのため、ビタミンB12には造血作用があり、貧血の予防、めまいや慢性疲労などを防ぐ効果があります。
また、ビタミンB12は神経機能を正常に保つ働きもあり、集中力の低下や気分の滅入りなどを改善する効能も期待できます。
一般的に、にぼしというと「カタクチイワシ」が原料とされていますが、実はさまざまな種類があることをご存じでしょうか?
にぼしには、マイワシ、きびなご、アジ、鯛、トビウオなどの種類があります。
また、九州地方ではトビウオのことを「あご」と呼び、関東でもトビウオから出る出汁のことを「あごだし」と呼びます。(上の写真があごだしです。)
にぼしはカルシウムなどの栄養が豊富なため、子どものおやつとして進められていますが、高血圧の改善や認知症の予防も期待できるため、中高年世代にも食べるべき食材です