ほうれん草には「健康」という花言葉があるのをご存じですか?
その花言葉の通り、ほうれん草は栄養豊富で、健康維持には必要不可欠な野菜です。
また、ほうれん草の根元の赤い部分には、骨を丈夫にする効能があるマンガンと呼ばれるミネラルが含まれています。なるべく切り落とさずに土をしっかりと落して食べましょう。
今回は、そんな健康の源であるほうれん草の栄養と効能についてご紹介します。
目次
ほうれん草の栄養と効能 一覧
「日本食品標準成分表2015」より (可食部100gあたり、野菜平均は良好倶楽部調査)
β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わる栄養。また、ほうれん草に含まれるビタミンAはキャベツの約87.5倍にもなります。
ほうれん草に含まれるβ-カロテンやビタミンAは、しそや人参には劣りますが、野菜平均を大きく上回る含有量です。小松菜やチンゲン菜といった普段からほうれん草と比較されやすい野菜と比べても、β-カロテンとビタミンAが豊富です。
ビタミンAは皮膚や粘膜、髪を健康に保ったり、視力を維持したりする効能があります。また、ほうれん草には美肌に必要なビタミンCやEも含むため、肌をきれいに保つ効能が期待されています。
女性に多い貧血ですが、鉄分が不足すると鉄欠乏症貧血になってしまうことがあります。鉄分と葉酸を同時に摂取できるのがほうれん草の特徴です。
赤血球を作る材料でもある鉄分は、貧血や冷え症の予防に効能があるとともに、鉄分の吸収を促す葉酸は、赤血球を作る働きがあるため、「造血のビタミン」とも呼ばれています。
妊娠中や授乳中の方は鉄分が不足しやすい傾向にあるため、積極的に摂っていただきたい栄養ですね。
「日本食品標準成分表2015」より (可食部100gあたり)
ほうれん草の栄養で意外なのが、カリウムの量です。ほうれん草が含む栄養はβ-カロテンや鉄分が多いイメージですが、カリウムは人参の2倍以上と豊富です。
ほうれん草に含まれているカリウムの量は、ふだんそうやパセリには劣っていますが、普段から積極的に食べれる野菜の中では、トップと言えるかもしれません。
カリウムは、過剰に摂取したナトリウムを体外に排出する効能があります。体内のナトリウム量を調節して、高血圧やむくみの予防などにも役立ちます。
ほうれん草の栄養にはビタミンEも含まれています。
ビタミンEの効能には血管が酸化するのを防ぎ、血行を良くする作用があります。その結果、肩こりや冷え症、肌の血色を良く見せるなどの効能があります。
ビタミンEは、ビタミンAやC、β-カロテンなど、ほかの抗酸化成分と一緒に摂るとより効能がアップします。これら栄養がしっかりと摂れるのもほうれん草の特徴です。
ほうれん草の栄養には、「止血のビタミン」と呼ばれるビタミンKが多めに含まれています。
ビタミンKは正常な止血をするために補酵素となって働く重要な栄養です。その効能はケガや手術時の際に傷口の血液をゼラチン状に固めて止血します。
また、丈夫な骨を作るのにも必要な栄養で、カルシウムが骨に沈着するのに必要なタンパク質を活性化する効能に加え、骨の石灰化するマンガンも含まれています。
ほうれん草に含まれるビタミンCには抗酸化作用があるため、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞の予防に効能があります。
また、肌のハリに大切なコラーゲンの生成にも関わる栄養で、美肌の維持には欠かせません。
さらに、ビタミンCとEを一緒に摂ることで抗酸化作用を高められます。ごまにはビタミンEが多く含まれているので、ほうれん草のごま合えは理想的な食べ方といえるでしょう。
ほうれん草に含まれるシュウ酸は体内のカルシウムと結合して、シュウ酸カルシウムに変わり、尿路結石の原因となってしまいます。
このためカルシウムの摂取は控えたほうがよいと思われがちですが、実際はその反対です。
カルシウムをとると腸の中でシュウ酸と結合し、便と一緒にシュウ酸を体外に排出する働きをするので、尿路結石の予防に役立つのです。
そのため、ほうれん草を食べる時はカルシウムを多く含む食品と一緒に摂取するのがポイントです。
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
20kcal | 92.4g | 2.2g | 0.4g | 3.1g | 2.8g | 16mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
690mg | 49mg | 69mg | 47mg | 2.0mg | 0.7mg | 0.11mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.32mg | 350μg | 0μg | 2.1mg | 270μg | 0.11mg | 0.20mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.6mg | 0.14mg | 0μg | 210μg | 0.20mg | 2.9μg | 35mg |
ほうれん草(葉 生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より)
ほうれん草のアク抜きが不十分だと、食べた時に舌がザラザラした感覚になります。これはシュウ酸と唾液の成分が反応して起こる現象です。
ただ、あまり茹ですぎると水溶性の栄養が抜け出てしまうので、さっと短時間で茹でるのがおすすめです。また、ほうれん草を生から炒めるよりも、軽く茹でてから炒めると舌触りが和らぎます。
β-カロテンとビタミンEは油脂と一緒に摂ると吸収率や効能がアップするので、油やバターで炒めて食べるのが最適な調理法です。ちなみに、鉄鍋でほうれん草を調理すると、鉄分をさらに摂ることができるのでおすすめです。
引用および参考:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
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