たらの芽に含まれる栄養と効能についてです。
たらの芽はタラノキの新芽「山菜の王様」とも呼ばれ、古くから高級な山菜とし扱われています。
独特の苦みと風味があり、お浸しや和え物、といった食べ方がありますが、一番の人気は天ぷらで、たらの芽独特の香りと特有の苦みが好まれています。
また、たらの芽を食するだけでなく、タラノキの根っこや樹皮は、古くから民間薬としても用いられていきたそうです。
今回は、そんなたらの芽に含まれている豊富な栄養と成分、その効能を詳しく解説していきます。
目次
たらの芽の栄養と効能 一覧
たらの芽に含まれている主な栄養素のレーダーチャート
まずはたらの芽に含まれている栄養を確認してみましょう。上のグラフは、15種類の栄養素を代表して作られています。
たらの芽の栄養で注目するのは葉酸ですね。次いで食物繊維、ミネラルやビタミン類も含まれています。
たらの芽は山菜の中でもタンパク質を多く含みます。山菜にはうどやふきのとう、つくしなどがありますが、とくに旬の時期が同じうどとは5倍もの差がみられるほど豊富です。
以下では、たらの芽の栄養と効能ご紹介していきます。
たらの芽には葉酸が多く含まれています。野菜類の中ではトップクラスとまではいきませんが、山菜類の中では比較的多い方です。
葉酸は特に妊娠中の女性に必要とされる栄養です。ビタミンB群のひとつで、造血作用による貧血予防に加え、胎児の先天異常を予防する効能があります。
妊活中、もしくは妊娠中の女性は葉酸が不足しないように、しっかりと摂取するようにしましょう。
その他の効果や効能には、DNAやタンパク質の合成を促す役割もあり、細胞の生成に大きく関わる栄養なのです。
また、たらの芽には貧血に関わる鉄分やタンパク質、銅なども含まれているので、造血や貧血予防のサポートに期待が持てます。
葉酸の造血作用はビタミンB12とともに働きます。たらの芽にはB12は含まれていないので、あさりやしじみ、牛や鶏レバーも同時に摂るようにしましょう。
たらの芽には「エラトサイド」と呼ばれる苦み成分が含まれています。
エラトサイドは、糖の代謝作用があるとして、糖尿病の予防効果が期待されています。
食後に上がる血糖値を穏かにさせ、急な上昇をしないよう防ぐ効能があります。
また、タラノキの根皮(コンピ)や樹皮は古くから民間薬として利用されてきたそうで、糖尿病や肝臓病、胃痛などの目的に使われています。
家庭でも煎じて飲めるように、自身で量を調節するタイプやティーパックタイプなどで販売されています。
たらの芽は、ビオチンの含有量が多いことも大きな特徴です。
あまり聞き慣れないとは思いますが「ビオチン」はビタミンB群のひとつ。たらの芽に含まれるビオチンは、野菜類の中でもトップ10入りするほどの量を含んでいます。
ビオチンの効能で注目なのが、三大栄養素の代謝をサポートをする働きです。ビオチンは補酵素として働き、三大栄養素の代謝に必要な酵素の一つ、カルボキシラーゼの働きを助けて炭水化物、脂質、タンパク質の代謝を促します。
皮膚や粘膜の健康維持にも関わる栄養なので、肌荒れの予防、髪や爪、抜け毛や白髪に対する効能もあります。
たらの芽の栄養には、ビタミンKも含まれています。
ビタミンKの効能には、正常な止血をする血液凝固作用があります。出血時に血液をゼラチン状に固めて、止血を促がします。
生理や妊娠などを経験する女性のライフサイクルに欠かせない栄養です。葉酸と同じく出産を控えた妊婦さんには特に必要でしょう。
また、丈夫な骨や歯の形成を促す効果もあります。カルシウムが骨に沈着するための、タンパク質を活性化する効能も持ち合わせています。
食物繊維もたらの芽で摂ることができます。
食物繊維は水分を含むと何倍にも膨れて、満腹感を与えて食べ過ぎを防ぐといった、ダイエット時にはおすすめの栄養です。
腸の蠕動運動を促す働きで便とともに老廃物を排出するほか、血糖値の上昇を緩やかにするなどの効能があります。
不溶性と水溶性の食物繊維の割合の理想は2:1です。たらの芽の食物繊維の割合は「不溶性3:水溶性1」なので、水溶性食物繊維が豊富な海藻や寒天を一緒にとるのがおすすめです。
不溶性食物繊維ばかり摂っているとお腹が張ったり、かえって便秘になることがあるので、水溶性の食物繊維もバランスよく摂りましょう。
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
27kcal | 90.2g | 4.2g | 0.2g | 4.3g | 4.2g | 1mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
460mg | 16mg | 33mg | 120mg | 0.9mg | 0.8mg | 0.35mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.47mg | 48μg | 0μg | 2.4mg | 99μg | 0.15mg | 0.20mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
2.5mg | 0.22mg | 0μg | 160μg | 0.53mg | 6.7μg | 7mg |
たらの芽(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
たらの芽の一番人気の食べ方が、天ぷらです。
天ぷらなのでさすがにカロリーは高くなりますが、メリットもあります。それは脂溶性の栄養の吸収が上がることです。
たらの芽はβ-カロテンを含む緑黄色野菜です。β-カロテンは脂溶性の栄養で油脂類と一緒に摂ると吸収率がアップします。なので、たらの芽の天ぷらは理にかなっているのです。
β-カロテンの効果や効能には、抗酸化作用や生活習慣病の予防、さらに肌荒れの予防などがあります。
たらの芽の脂溶性の栄養には、ビタミンA、E、Kも含んでいるので、これらの吸収も高めることができます。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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