メロンの栄養と効果についてお伝えします。ナイフを入れた瞬間に薫る甘~い芳香と、やわらかくみずみずしい果肉が特長の、“フルーツ界の貴婦人”
ビニールハウスやトンネルなど、温室で育てられる品種は高級品で、贈答品としてもさまざまなシーンでよろこばれる果物です。
夕張メロンが有名でしたが、今では生産量は少ないものの静岡県産の「クラウンメロン」が高級品として名高くなっています。
今回はそんな甘くて舌触りが何とも言えない魅力のメロンについて、その栄養と効果を探っていきます。
目次
メロンに含まれる栄養と効果 一覧
メロンに含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
40kcal | 87.8g | 1.1g | 0.1g | 10.3g | 0.5g | 7mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
340mg | 8mg | 13mg | 21mg | 0.3mg | 0.2mg | 0.05mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.04mg | 3μg | 0μg | 0.2mg | 3μg | 0.06mg | 0.02mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.5mg | 0.10mg | 0μg | 32μg | 0.19mg | 0.9μg | 18mg |
メロン(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
上の図はメロンの栄養素をグラフで表したもので、主要栄養素15種類を抜粋して作成しています。また、下は成分表に成ります。
メロンで注目する栄養はミネラルの一種であるカリウムで、ビタミンCも含みます。炭水化物も含みますが、カロリーや糖質量はやや低い範囲です。
また、妊婦さんに必要な葉酸も含みますが、それほど多くはありません。メロンよりも葉酸を多く含み、なおかつ旬が同時期の果物には、いちごやさくらんぼ、パパイヤが上げられます。
果物の果糖には冷やすと甘くなる性質がありますが、ショ糖にはその性質はありません。メロンはショ糖を多く含むので、冷やしても甘くはなりません。実際に食べる2~3時間前が最適です。
メロンに含まれる栄養の中で、最も注目したいのがカリウムです。
「日本食品標準成分表2020」より (可食部100gあたり)
グラフを見てのとおり、カリウムを豊富に含む果物として知られるスイカのおよそ3倍もあります。アボカドと比べるとメロンのカリウム量は約半分ほどですが、カロリーは1/4も低いので、カロリー摂取を考えるとメロンがおすすめです。
カリウムはナトリウムと一緒に細胞内外液の浸透圧を一定に保つ働きや効果のある栄養です。浸透圧を保つ作用によって血管へ体液が入るのを防ぎ、血管の圧迫(高血圧)やむくみの予防効果が期待できます。
カリウムは調理法によっては失われやすいミネラルです。そのまま生で食べられるメロンは、まさにカリウムの摂取にうってつけの食べ物と言えるのです。
とくに赤肉のメロンに多く含まれている栄養分がβ-カロテンです。
「日本食品標準成分表2020」より (可食部100gあたり)
メロンのβ-カロテン量は、種類によって異なります。上のグラフを見てのとおり、もっとも多いのが夕張のような赤肉種です。「100g中:3600μg」は果物類でトップクラスを誇り、人参や小松菜を上回る量です。
必要に応じて体内でビタミンAに変わるβ-カロテンは、体内の粘膜や皮膚の健康維持に働き、呼吸器系の機能を保つ効果があります。
また、β-カロテンには強力な抗酸化作用があることが知られています。体内で発生する活性酸素は、肌荒れやシミ、しわ、その他全身の老化の要因となります。
抗酸化作用は、この憎き活性酸素の働きを抑える作用。つまりβ-カロテンには、身体やお肌を若々しく保つ効果があるというわけです。抗酸化作用に期待するなら、赤肉メロンを選ぶといいでしょう!
タンパク質分解酵素であるククミシンも含みます。
ククミシンはメロン特有のタンパク質分解酵素です。お肉などタンパク質を含む食品との相性が良く、消化を促して胃もたれを防ぐ効果とともに、効率よくエネルギー源にもなります。
ククミシンは特に、夕張、マスクメロン、アンデス、アムスといった網目のある種類に多く含まれています。
また、食べると喉のイガイガや痒み、唇や舌がピリピリするといった症状は、口腔内アレルギーの場合もありますが、このククミシンが原因ということもあります。
これは、ククミシンによって口の粘膜のタンパク質が刺激されることで、食べた直後にこのような反応が起こります。
メロンとスイカは同じウリ科の植物です。見た目の丸い形状は似ていますが、果皮の色や模様、果肉の色や味は全く違いますが、なにかと比較される果物です。
スイカとメロンに含まれている主な栄養素の比較
上のグラフはスイカとメロンの栄養を比較したものです。このグラフでも分かるように、栄養価が高いのはメロンです。カリウムとビタミンC、ビタミンB1が多く、スイカよりも美肌効果やむくみ予防の効果が期待できます。一方でスイカはビタミンAが多いですね。
また、果物の栄養では炭水化物の量が気になりますが、どちらもそれほど差はありません。
そして、栄養以外で最も大きな違いは、食べる部分です。メロンで食べている果肉部分はスイカの白い部分にあたり、メロンは中果皮、スイカは内果皮という部分を食べています。
これは育った環境の違いからくるもので、スイカは鳥に種をばらまいてもらうために、果肉部分に種が散らばって入っています。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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