らっきょうに含まれている栄養と期待される効能ついてお伝えします。カレーの付け合せなどに欠かせない存在の「らっきょう」。実はこのらっきょう、漢方薬にも使われるほど多くの効能を持っているのをご存じですか?
らっきょうは、平安時代から親しまれている食材で、その効能の高さから「畑の薬」とも呼ばれるほどです。
甘酢や塩漬が定番ですが、生のらっきょうを刻んで薬味にしたり、炒め物、天ぷらなどでもおいしく食べることができます。
今回は、ぜひとも取り入れたいらっきょうの魅力を解説していきます。
目次
らっきょうに含まれる効能と栄養 一覧
「日本食品標準成分表2020」より (可食部100gあたり)
上のグラフはらっきょうと主な野菜の食物繊維含有量を比較したものです。他の野菜に比べても食物繊維が多く含まれているのが分かります。
らっきょうは100gあたり食物繊維が20.7gと豊富で約1/5は食物繊維です。上のグラフでもわかるように、食物繊維が豊富な野菜として知られるごぼうのなんと3.5倍以上、さらに、らっきょうを若いうちに収穫したエシャレットにも食物繊維は豊富に含まれています。
「日本食品標準成分表2020」より (可食部100gあたり)
らっきょうは食物繊維の中でも特に水溶性食物繊維が豊富で、「生の全食品の中でトップ」を誇ります。野菜平均値と比較すると23倍以上、にんにくでは4.5倍、ごぼうでは8倍もの差があります。
水溶性食物繊維は硬い便を柔らかくする効能が期待できるため、スムーズな排便を促します。また、ビフィズス菌などの善玉菌を増やし、腸内環境を改善してくれる栄養でもあるので、らっきょうには便秘解消の効果が期待できます。
らっきょうの栄養には、ジアリルスルフィドという成分が含まれています。
ジアリルスルフィドとは硫酸化合物の一種で、活性酸素の除去などの働きや効能があります。
また、らっきょうの栄養の中には胃がんの原因であるピロリ菌を撃退するフラボノイドや、抗酸化作用を持つサポニンなども含まれています。
まさに、らっきょうは畑の薬の名に相応しい、栄養や効能がぎっしり詰まった食品です。
らっきょうには、硫化アリルの一種であるアリシンと呼ばれる栄養が含まれています。らっきょう独特の香り成分で、同じくユリ科のにんにくやネギなどにも含まれている栄養です。
アリシンは疲労回復に欠かせないビタミンB1の吸収を高めるとともに、炭水化物の代謝を促してエネルギーの生成をサポートする効能があります。
アリシンとビタミンB1が結合することで、「アリチアミン」という成分に変化し、体内に長時間留まることができるため、疲労回復作用を持続させることができます。
アリシンは食欲の増進や、油分の消化を助ける働きもする栄養です。ビタミンB1が豊富な豚肉入りのカレーとの相性が良く、夏バテの予防におすすめです。
こちらはジアリルスルフィドとアリシンの働きや効能。血小板の凝集を抑えて血栓を予防します。
ジアリルスルフィドは、解毒作用や活性酸素の除去だけでなく、血液の凝固を抑える効能もありますが、アリシンにも血栓を防ぐ作用があります。
この2つの成分が血液をサラサラにして血流を促進し、血液凝固に関連する動脈硬化や心臓病の予防などが期待できます。
ちなみに、ジアリルスルフィドはらっきょうの他に、わさびやニラなどに多く含まれている栄養です。
らっきょうの栄養には、フルクタンと呼ばれる成分も含まれています。
フルクタンとはフルクトース(果糖)の重合によって生じた多糖類の総称で、食物繊維の一種です。
効果や効能としては、腸内でコレステロールを吸着して排出する、という働きがあります。フルクタンはコレステロールを排出するため、コレステロール値の改善などの効果が期待できます。
そして、血糖値の上昇を緩やかにする効能もあるため、らっきょうには肥満の予防にも役立つと期待されています。
フルクタンは、にんにく、ゴボウ、菊芋にも含まれていますが、らっきょうに含まれる量はダントツです。
フルクタンは2種類あるそうで、冷水に溶けやすいものとそうでないものがあります。らっきょうに含まれているフルクタンは、冷水に溶けやすい特徴があるので、水のつけすぎには気をつけましょう。
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
83kcal | 68.3g | 1.4g | 0.2g | 29.3g | 20.7g | 2mg |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
230mg | 14mg | 14mg | 35mg | 0.5mg | 0.5mg | 0.06mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.45mg | 0μg | 0μg | 0.8mg | 1μg | 0.07mg | 0.05mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
2.1mg | 0.12mg | 0μg | 29μg | 0.56mg | 0.9μg | 23mg |
らっきょう(りん茎 生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
栄養価が高いらっきょうですが、もちろんたくさん食べればいいというものではありません。
むしろ、過剰に摂取しすぎるとかえって健康を害してしまうこともあります。一般的には、大きいらっきょうで1日3粒程度、小さければ5粒程度が適量と言われています。
一度にたくさん摂ると、消化液の分泌を促進するジアリルスルフィドが胃の粘膜を過剰に刺激し、胃もたれなどの原因になりますので、らっきょうの食べすぎには要注意です。
カレーのピクルスや天ぷら炒めものなど、食べ方が豊富でついつい食べ過ぎてしまいがちですが、量には気をつけましょう。
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
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