ラ・フランスなどで知られる洋梨の栄養と成分、カラダへの効果などをご紹介します。日本の梨に比べて、香りが高く、ねっとりとした甘みが魅力的な洋梨。
フランス原産のものはラ・フランス、イギリス原産のものはバートレットと呼ばれますね。日本では、生食ではまだ馴染みが薄いですが、ジャムや缶詰、タルトやコンポートなど、デザートでは頻繁に登場する果物です。
日本の梨のようにそのまま食べても甘さを楽しめますが、デザートや果実酒でもおいしく味わうことができます。
今回はそんな洋梨の栄養や成分と、カラダへの効果と効能についてまとめています。
目次
洋梨の栄養と効果 一覧
洋梨に含まれている主な栄養素のレーダーチャート
エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 食物繊維 | ナトリウム |
---|---|---|---|---|---|---|
48kcal | 84.9g | 0.3g | 0.1g | 14.4g | 1.9g | Tr |
カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 |
140mg | 5mg | 4mg | 13mg | 0.1mg | 0.1mg | 0.12mg |
マンガン | ビタミンA | ビタミンD | ビタミンE | ビタミンK | ビタミンB1 | ビタミンB2 |
0.04mg | 0μg | 0μg | 0.3mg | 0μg | 0.02mg | 0.01mg |
ナイアシン | ビタミンB6 | ビタミンB12 | 葉酸 | パントテン酸 | ビオチン | ビタミンC |
0.2mg | 0.02mg | 0μg | 4μg | 0.09mg | 0.3μg | 3mg |
洋梨(生)の100gあたりの成分表(Tr:微量、-:未測定「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より)
上のグラフは、洋梨に含まれている主な栄養をレーダーチャートのグラフで示したもの、下には成分をまとめた表を作成しています。
グラフや表を見ることで、洋梨にどのような栄養が含まれているのか一目で分かりますね。また、含まれている栄養が分かることでカラダへの効果や効能もなんとなく理解していただけるかと思います。
グラフを見ますと、炭水化物と食物繊維がやや多く含まれていることが分かります。炭水化物は糖質、そのうち約50%が果糖、その他、ショ糖、ソルビトールなどが含まれています。洋梨の甘味を形成している部分でもあります。
カロリーは多少ありますが、さほど多い量ではありません。カリウムも同様ですね。以下では洋梨に含まれている食物繊維をはじめ、カラダに効果的な栄養、注目の成分を詳しくご紹介していきます。気になる項目がございましたら、ぜひ目を通してみてください!
洋梨で注目すべき栄養は食物繊維です。100g中1.9gの食物繊維を含んでおり、日本の梨の2倍以上の食物繊維含有量を誇ります。(日本梨は0.9g)
洋梨は不溶性食物繊維が多いのが特徴です。ここが注目ポイントですね。不溶性食物繊維は水に溶けない食物繊維で、胃や腸で水分を吸収し、便のかさを増したり、排せつを促しスムーズにさせる効果が期待できます。
また、不溶性食物繊維は腸内に長くとどまることから、大腸がんを予防する効能も期待できます。
便秘は健康はもちろん、美容にも悪影響を及ぼします。洋梨などのフルーツを適度に摂取して、食物繊維を多くとるよう心がけましょう。
洋梨は、果物の中でもトップクラスのソルビトール含有量を誇ります。
先にも触れましたが、洋梨には炭水化物(糖質)が多く含まれており、その約50%は果糖です。残りをショ糖、ソルビトールなどの糖アルコール成分が占めます。
ソルビトールはブドウ糖を発酵させて作られた糖アルコールで、咳止めや解熱の効果があるとされております。咳による風邪や発熱に効果的です。
また、甘味が砂糖の60%ほどとされており、代替甘味料としても使用されます。ソルビトールはりんご、プルーン、海藻などにも多く含まれています。
上のグラフにも見られるように、洋梨にはカリウムも含まれています。含有量は多くはありませんが、重要な栄養素ですので解説していきます。
カリウムはミネラルに分類される栄養で、ナトリウムとともに細胞の浸透圧を維持する働きがあります。
そのため、カリウムは体内にあるナトリウムの排出を促し、むくみや高血圧の予防に一定の効果が期待できます。
現代人はナトリウムを過剰に摂取する傾向があるため、ナトリウムの排出を促すカリウムは重要な栄養成分です。洋梨などの果物や野菜、納豆、昆布などに多く含まれています。
洋梨は「プロテアーゼ」という、タンパク質を分解する消化酵素を含みます。
プロテアーゼはタンパク質の分解を助けることで、胃もたれや胸やけを予防する効能、消化不良を防ぐ効果などが期待できます。タンパク質が豊富なお肉やお魚を食べた後は、洋梨のデザートを食べれば消化を助けてくれるでしょう。
タンパク質分解酵素であるプロテアーゼは、肉のタンパク質をアミノ酸へと分解することでお肉を柔らかくする効能も期待できます。西洋料理に洋梨を使用することがあるのはこのためだったんですね。
プロテアーゼは洋梨のほかに、パイナップル、キウイ、メロン、りんご、生姜、にんにくなどに多く含まれています。
日本では馴染みの薄い洋梨。シャーベットやジャム、タルトなど加工したものを食べる機会のほうが多いですね。
加工品が多い洋梨ですが、一部のスーパーでは生の洋梨が出回ります。やや高級なスーパー、百貨店なんかがねらい目ですね。洋梨の旬は9~12月ごろですので、この頃には見ることができるでしょう。
日本のスーパーで多く見られる品種は、ラ・フランスです。外観は汚れているように見えますが、味・香りともに最高と評されています。イギリス原産のバートレットも稀に見られます。
食べ方がイマイチよく分からないという方も多いと思いますが、まず、皮は剥いて食べます。皮のまま食べる方もいるようですが、農薬が残っていることがありますので、皮のまま食べるのは避けたほうがよいです。
皮を剥いたら、真ん中にタネがあるので取り出しましょう。果肉が柔らかいので、包丁を使わなくてもスプーンや型抜きで簡単にくりぬけます。あとはそのまま食べるだけ。洋梨特有の芳醇な香りとねっとりとした触感をお楽しみ下さい!
引用および参考:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」